検察全体へのダメージを避けるためのスケープゴートか?
「大阪地検特捜部の置かれた立場がよく分かるエピソードがあります。東京地検特捜部の部長は東京地検の検事正、次席検事に次ぐ不動のナンバー3です。なので、東京の特捜部長経験者は大臣などと並ぶ天皇の認証官である検事長に大半がなります。
ですが、大阪地検特捜部長は必ずしもそうではありません。大阪地検では、荒っぽい取り調べで知られる大阪府警捜査1課や捜査4課が手がける立証が難儀でやっかいな事件をてきぱきと処理しなければならない刑事部長が重用される傾向にあり、特捜部長経験者は検事正ポストを最後に退官するケースも決して少なくありません。
関西検察では、大坪氏の逮捕について同情的な見方が根強かったと言われています。証拠改ざん事件が検察全体へのダメージにつながらないよう、最高検主導で行われた捜査は、事件の原因を関西検察特有のローカル性や特殊性にあるという形で処理するために大坪氏をスケープゴート(生け贄)にしたと捉える人が多いからです。
現に最高検は、陸山会の政治資金規正法違反事件で小沢一郎衆院議員の元秘書の取り調べに関して東京地検特捜部の検事が虚偽の内容の捜査報告書を作成したとされた問題では、『全くありもしない内容を記載したとは認められない』として2012年、検事を不起訴処分にしています。東京地検特捜部による中央政界の捜査では、犯罪行為を認めなかったわけです。関西検察には最高検のこうしたダブルスタンダードに、批判的な声が根強いのです。大坪氏は『ヤメ検』として関西検察と対峙していくのか、はたまた連携していくのかは不明ですが、関西検察はウエルカムのムードのようです」(同前)
大坪氏の人生再チャレンジが始まった。