かつての人気番組に『タモリ・たけし・さんまBIG3 世紀のゴルフマッチ』という正月特番があった。
番組の名物企画に「英語禁止ホール」があった。ゴルフ用語には英語が多いのでついつい使ってしまう。ほかの言葉に言い換えてきちんと説明して乗り切れるかどうか。このせめぎ合いが見ていて楽しかった。
さて、最近の東京五輪に関する「説明」を聞いているとあの番組を思い出してしまうのだ。ついつい簡単に使ってしまう言葉を禁止にしたほうがよいのでは?と思ってしまう。たとえば「感動」「夢」「希望」などである。
コロナ禍で五輪を開催する意義を問われるとエライ人達からはいつも「感動」とか「夢」とか「スポーツの力」とか出てきて白々しい。これらの言葉を禁止したうえで納得できる説明ができるのかとても興味がある。
「安心・安全」は禁止にしてはどうか
そうそう、菅首相は「安全・安心」をAIのように繰り返しているが、あれも禁止したらどうだろう。
首相が簡単に使いすぎる「安全・安心」に対してのお叱りをご紹介しよう。
《政府や組織委が掲げる「安全・安心な大会運営」は、前提であって答えではない。》
まったくだ。
《開催意義をあいまいにしたまま「安全・安心」を繰り返しても、国民の理解は広がらない。菅義偉首相にはそこを明確に語ってもらいたい。》
ほんとそう思う。
苦渋に満ちていてうっかり読みごたえがあった産経社説
これ、誰が言っているかといえば産経新聞の社説なのである(5月28日)。
朝日新聞の社説が五輪中止を訴えて注目を浴びたが(5月26日)、私はその2日後に書かれた産経社説のほうに目が行った。
なぜって産経は五輪開催をバリバリ支持しているからこそ苦言が出ちゃうように見えるのだ。朝日のように「もう中止しろって言ったもんねー」という立場より、是が非でも成功させろと言っている産経のほうが苦渋に満ちていてうっかり読みごたえがあった。