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東大在学中に司法試験合格、ハーバード大留学…山口真由が語る「“優等生病”の始まり」と「“結果がすべて”の嘘」

山口真由さんインタビュー #1

2021/06/13

source : 文藝春秋 digital

genre : ライフ, ライフスタイル, 教育, 働き方, 社会

note

私の性格がはまるべきところにはまればいい

――自分とはまったく違う人たちがいる環境に身を置くことで、自分を客観視できたという感じですか?

山口 そうですね。財務省も弁護士だった時も東大出身ばかりの画一的な世界でしたし、その中で学生時代のような抜群の成績を取ることができない自分を許せなかったところがありました。でも今は、優良可のような評価のない世界で生きていて、私の性格がはまるべきところにはまればいいんだと考えるようになりました。

――考え方に変革があったと。

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山口 急激にありましたね。ちょうど2017年頃、人生に疲れてしまったんです。自分を許せなくて、改善を要求し続けた結果、疲れてしまった。でもその後、私はこういう生き方しかできないと諦めがついて、すごく楽になりました。

 

社会人になってから自分を責めるように

――大きな変化ですね。

山口 自己肯定感を持たなきゃ、持たなきゃと思っていたのが、今は「これが私の自己肯定」と考えるようになりましたね。

 あと、私たち東大女子って、教育課程においてはさほど不利に扱われてこなかったので、卒業までに強烈に個人主義的な人間になりがちなんです。私の代も文系の成績優秀者は女性ばかりでしたし、「同じスタートラインで普通に走れば私たちのほうが速い」という意識になるわけです。でもそういう人が社会に出て不利を受けると、うまくできないのは自分のせいだと思って、会社をやめたり精神的に追い込まれたりする人が多い気がします。

――社会人になってから自分を責めるようになると。

山口 そうです。個人主義だから「自己責任」という方向に行くし、「組織が悪い」と言うのはダサいよねというプライドもある。でもそういう個人主義的な文化を強化することで、社会全体の女性の活躍を難しくしているところがあるのではないかと感じて、そこは考え方を改めようかなと思っているところです。