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2021/06/13

お客様の来店理由は“性”の迷いや悩み

 再指名されることが多かったわたしは、お客様とどんな風に対峙しているのかをたびたび店長と話していた。たとえば、お客様の来店理由を聞くと、その7割ほどには“性”全般の迷いや悩みが含まれていること。風俗利用がまだ浸透していない女性に、詳細なプレイ内容や肌を露出した写真を載せて、「どれだけエロいことができるか」を打ち出す営業スタイルは、「自分がこの子を買うのだ」という搾取のような感覚が強く働いてしまって逆効果であるということ。欲望の自覚があっても素直に発散することには心理的なハードルがまだ高いから、「何かを改善する」「癒されたい」という望みを叶えるスタンスでいる方が、利用に繋がりやすいようだ、ということなどを伝えていた。

 今でこそ、女性客を対象にする風俗店は、安心して利用できるような工夫に余念が無いが、2017年当時はそういう店は一部しかなかった。男性向け店舗の片手間に運営されていて、問い合わせてもまともな回答を貰えなかったとか、知らぬ間に閉店していたなどもザラ。件のレポ漫画がSNSで人気になったのと同時に、「レズ風俗」の呼び名でブームのように知られていき、新たな市場として風俗業界の中で徐々に見出されていったのが、この5年ほどの話である。

©Rimi Watanabe

“風俗っぽくない”から出会える人たち

 そんな経緯と背景から、自分の店を持つことになったときには「不安が払しょくされて、より利用しやすく感じる店」というコンセプトで、従来型の風俗店とは違うことをしようと考えた。まず代表である自分が最初から顔を出しているのは、「風俗っぽくなさ」を極めるのに必要だと思った。代表者の顔が出ていると、この店をどんな人が・何を考えて作ったのか、ちょっと上質な製品やサービスを選ぶときのように知ることができて、安心感につながるのではないかと考えた。

 また、いちキャストとして働いていたときから重要だと感じていた、「利用のきっかけ」を30分もかけてヒアリングすることにした。性サービスの前座にしては長く、身の上を聞くには短いその30分間で、女性たちはさまざまな想いをまるで息を漏らすように細かく話してくれる。

“この歳になっても”まだ処女だから婚活の障害になりそうで不安だとか、彼氏がいる女性を好きになってしまってつらいとか、性的な欲求がわかない・誰とも付き合いたくない自分を異常だと感じているとか…皆、快楽を得る以前に「性」や「愛」でがんじがらめにされていることを、初対面のわたし達に話す。「性」の話はナイーブで、日常的に関わる人に話すと心理的なコストを払ったり、暴露被害(アウティング)などのリスクになったりすることもある。そんな日常的な悩みと風俗利用という非日常との狭間で求められる絶妙なラインを体現する形で、「対話型レズ風俗 Relieve ~リリーヴ~」は誕生した。

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