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優秀な営業も使うテクニック

 実は、彼らは初回の電話ではサギを行わない。

「電話番号を変えたから、前の番号は消去しておいて」などとサギ師につながる番号を教えたり、「話したいことがあるけど……、今日はいいや。またかける」と、サギの本題を言わずにいったん電話を切るのだ。

 これをアポイント電話(アポ電)というが、最初の電話は、相手が騙せる人間かどうかをチェックするためのものである。もし、電話先から「お前は誰だ!」と言われたら、騙せない相手なので、電話は即、切って、次のターゲットに電話をかける。

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 ここでは、「自分の手に負えない(見込みのない客)と思えば、すぐに見切る」という、ビジネスにおける時短テクニックが使われている。実績の出ない営業マンは、得てして効率の悪い営業をしがちで、一軒一軒、丹念に電話をかけ、見込みのない客にまで力を込めてしまう。そのために、時間を奪われるどころか、相手に断られるとショックが大きくなり、次の電話がかけられなくなってしまう。

 それに対して、できる営業マンは、自分が設定した見込み客の基準をベースにして、淡々と電話をかけ、見込みのある客のみに、営業の話を持ちかける。相手に過度の感情移入をすることなく、次々に電話をかけることができれば、当たり客に出会う確率はグッと高くなる。

 振り込めサギではこの手法を、相手を騙す行為に使っているので始末に負えない。

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 そして、いったん騙せる相手と見るや、たくさんの人を登場させて、何度も電話をかけて、騙しの罠にはめていく。高齢者がいくら注意喚起されても、騙されてしまうのも仕方がないかもしれない。それゆえ、振り込めサギ対策としては、留守番電話などの設定にして、知らない電話は取らないことが有効になる。

 それは、録音されると犯行の証拠が残るからというだけでなく、最初の電話で相手から情報を引き出せなくなるからである。事前電話の排除こそが、サギに遭わないために有効な手段なのである。

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