ガールズバーでバイトしている17歳
事務所の応接室で話を聞いたところ、まだ17歳で、この店の近所にあるガールズバーでバイトしていると話した。姉と2人暮らしという家庭環境が、どこか切ない。盗んだ商品をテーブルの上に出させると、34点もの化粧品が出てきた。その被害額は、およそ4万2000円。未成年者であることは考慮されるだろうが、警察に引き渡せば逮捕される可能性は捨てきれない。
ひととおりの事務処理を終えて店長を呼び出すと、そちらに狙いを変えたらしい女は、胸を見せつけるような前傾姿勢をとった。ついつい目をやれば、真っ赤なブラジャーが露出していて、角野卓造に似た50代の店長も、粘り気があるいやらしい視線をチラチラと胸に飛ばしている。その視線に気づいた女は、店長を挑発するようにソファの上で身をねじると、不意に立ち上がって店長の膝の上にまたがった。
「警察だけは、勘弁してください。こんど警察に捕まったら、ウチ、少年院行くことになっちゃうんです……」
いやらしい笑顔を浮かべた店長
女に頭を抱えられるようにして顔に胸を押し付けられた店長は、もがきながら立ち上がると、髪の毛がない頭頂部を真っ赤にして言った。
「もう、仕方ないなあ。これっきりだよ……」
待っていましたとばかりに事務所から出ていく女を見送って応接室に戻った私に、いやらしい笑顔を浮かべた店長が言った。
「あの子の店、なんて名前だっけ?」
鼻の下を伸ばす店長にあきれてこの一部始終を本部に報告すると、間もなく店長は解雇された。万引き犯の色仕掛けに屈して職を失った心境はどのようなものか。姿を消した店長の消息は不明だ。