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競馬をおもしろくする稀代のクセ馬

 話をゴールドシップに戻そう。皐月賞では最後方を進みながら4コーナーを過ぎて各馬が馬場のいい外を走る中、開いた内を突いての“ワープ”で2着を2馬身も離した。菊花賞では3コーナー手前の坂の上りでロングスパートをして二冠達成。しかし、菊花賞馬の好走が当たり前の天皇賞・春ではロングスパートの最中にイヤイヤをしてみせ、鞍上の内田博幸に何度も気合を入れられながら伸びず5着。かと思えば宝塚記念ではスタートから押されて4番手につけ、3角でも押されたまま伸びて2着に3馬身差でGⅠ4勝目。天皇賞で敗れたフェノーメノを4馬身も離したが、5歳時の天皇賞・春ではまたも走る気をなくしてフェノーメノの7着。「やるぜ!」と気が乗っているときと「走りたくねぇ」と駄々をこねているときの差がおもしろいほど激しすぎる。6歳になると「気分次第」はさらにひどくなった。2年連続敗戦の天皇賞・春でゲート入りを嫌がり、目隠しをされてゲートイン。「またダメだ」とレース前にあきらめたファンをあざ笑うかのように先頭ゴール。しかし、続く宝塚記念ではゲートで大きく立ち上がりスタートから6馬身以上離され15着。

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 こうなると、馬場適性や距離適性、レース間隔などの予想ファクターを駆使しても、まるで意味がない。セオリーなど通用しない稀代のクセ馬である。しかし、こんな馬の存在も競馬のおもしろさなのだと、今になってつくづく思う。

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