上等な鰹節や出汁粉を感じる「春菊天なす天そば」(500円)が登場
そんな話をしていたら、「春菊天なす天そば」が登場した。アツアツのつゆをひとくち飲んでみた。すると、滋味深い出汁の香りが広がった。きれいなムラサキ色のつゆである。かなり上等な鰹節や出汁粉を使ってひいている出汁である。
そばは大手製麺所の麺だが、この麺もコシがあってなかなかうまい。そして、毎朝3時に起きて揚げているという春菊天もなす天も、つゆが染みわたってじんわりと旨さが広がっていく。
お店のこの味は、故郷の山形の味かと聞いてみると、そういうわけではないという。
「そばの味のイロハは、金町駅寄りにあった蕎麦屋さんで修行して学んだ」そうである。その味を継承しているという。「少しでも味が落ちると、常連さんに怒られちゃうから、いつも注意していい味をだすように心がけています」と女将さんは言う。
そんな話を聞いていたら、「春菊天なす天そば」がなくなってしまったので、追加で、「冷やしかきあげ天味玉そば」(540円)を追加注文してみた。
冷たい冴えたつゆの「冷やしかきあげ天味玉そば」(540円)
すぐに登場したその冷たいつゆをひとくち飲んでみる。温かいつゆとまた違って、さらに出汁の香りが深く落ち着いた味のうまさが口いっぱいに広がった。これはうまいつゆである。冷やしそばにはゆで卵がうまいのは定石なのだが、味玉になっていてさらに馴染んだ味になっている。味玉をガブリとかじり、冷たい冴えたつゆをひとくち飲めば、もう何も言うことはない。30分歩いてきた甲斐があったというものである。
そんなそばの余韻を楽しんでいると、ご近所にお勤めの川井さんというシャキシャキの常連さんが、入店してきた。開口一番、「きつね味玉そば」を頼んでいる達人だ。聞いてみると本日2回目の「あかくら」だそうである。
「職場が近いので最近はよく利用していますが、最初は気がつかなかったんですよ。でも、ここを知ってしまったら、もうヘビーユーザーになっちゃいますね」と川井さん。
「公園利用者より近所の方が常連になってくれて、本当に嬉しい」と女将さんはにっこりいう。