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“森友文書改ざん事件”で夫を亡くした赤木雅子さんが沖縄のハンスト会場に向かった理由

「国の不条理を背負わされて、つぶされてしまったと思うんですよ」

2021/06/22

「今すぐ沖縄に行きたいです」

 そんなLINEが赤木雅子さん(50)から届いた。財務省公文書改ざん事件で夫を亡くし、国などに裁判を起こした原告。その人がなぜ、事件と関係のない沖縄をめざすのか?

◇ ◇ ◇

沖縄タイムスが「赤木ファイル」の開示を求める社説を掲載

 雅子さんの夫、赤木俊夫さんは、上司にさせられた改ざんの詳細を職場で記録に残していた。「赤木ファイル」と呼ばれるその記録の開示を裁判で求めると、国は人名などを黒塗りにしてから出すと通告してきた。それでは誰がどう改ざんを指示したのかわからない。

 これに対し「国は疑念に応えるため、すべてを開示するべきだ」と求める社説を、沖縄県の地元紙、沖縄タイムスが掲載した。

「遠い沖縄でも関心を持ってくれた」

 これをきっかけに雅子さんは5月、生まれて初めて沖縄を訪問。新聞社を訪れ感謝を伝えた。その際「せっかく来たのなら」と、沖縄タイムスの阿部岳記者の紹介でお会いしたのが、戦争の遺骨収集をボランティアで続けている具志堅隆松さん(67)だった。

5月の訪問時、具志堅隆松さんと初めて会った赤木さん

「不条理のそばを黙って通り過ぎるわけにはいかない」

 沖縄戦で犠牲になった住民。日本軍や米軍の軍人。激戦地だった本島南部のいたるところに遺骨は埋まっている。いくら収集しても終わりはない。ところが国はこの地域の土砂を、辺野古の米軍基地建設の埋め立てに使おうとしている。戦死者の遺骨を、敵だった米軍の基地のために埋め立てるとは、本来なら保守派や右翼・愛国者が真っ先に怒りの声をあげるべきところだろう。しかし実際に声をあげたのは具志堅さんだった。「遺骨の混じった土砂を埋め立てに使うのは人道上許されない」と訴えたが、国からはまったく誠意ある返事が返ってこない。

 雅子さんも、夫の死を招いた改ざんの真相を知りたいと訴えているが、国から誠意ある答えはない。立場が同じだと感じる。だからこそ具志堅さんに尋ねた。それでもくじけず、国に訴え続けるのはなぜなのか?

「……不条理のそばを黙って通り過ぎるわけにはいかないからです」