文春オンライン

“森友文書改ざん事件”で夫を亡くした赤木雅子さんが沖縄のハンスト会場に向かった理由

「国の不条理を背負わされて、つぶされてしまったと思うんですよ」

2021/06/22
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 簡潔だが真理を突いた答え。「自分もくじけずに訴え続けよう」と誓ったのが、ひと月前のことだった。この模様は、沖縄に始まった赤木雅子さんの全国行脚を描く6月24日発売の週刊文春の記事「赤木死すとも自由は死せず 『赤木ファイル』雅子さんを励ます地方紙の声」に詳しく記している。

ハンストで埋め立てに抗議

 それからひと月、具志堅さんがハンスト=ハンガーストライキに乗り出した。6月23日は沖縄戦で組織だった戦闘が終わった沖縄慰霊の日。その日まで5日間ハンストを続け、遺骨を含む土砂を使う埋め立てに抗議する。

ハンスト会場

 雅子さんはこれを開始当日の19日にネットのニュースで知った。それが冒頭の「今すぐ行きたい」というLINEになる。23日に雅子さん自身の裁判を控えタイトな日程ではあったが、私は答えた。

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「行きましょうよ。きっと喜んでもらえますよ」

 出発前にPCR検査を受けた上で、日帰りで沖縄を訪れることになった。

◇ ◇ ◇

「今度は私が応援したいと思って飛んできました」

 6月21日午後2時、沖縄戦の犠牲者を悼む本島南部の平和祈念公園。23日に追悼式典が開かれるこの場所で、具志堅さんはハンストを続けている。その日、朝の便で沖縄に着いた雅子さんは、そっと近づき声をかけた。

「具志堅さん、赤木雅子です。ひと月前にお会いしました。遺骨収集の様子を見せて頂いた……」

「えっ、いやあ~いらしたんですか?」

「あの時はありがとうございました。すごく励ましてもらって。今度は私が応援したいと思って飛んできました」

今回の訪問にて

 具志堅さんは、改ざんで死に追い込まれた赤木俊夫さんを、沖縄戦の犠牲者に重ね合わせた。

「国の不条理を背負わされて、つぶされてしまったと思うんですよ。こういう不条理のそばを黙って通り過ぎる訳にはいかない。二度とこういうことを起こしてはいけない、ということが生かされない。沖縄戦の犠牲者も同じです」

「はっきり間違っていると言い切れることはそうそうありません。でも戦争で亡くなった人の遺骨を埋め立てに使うというのは、はっきり間違っているんです」