簡潔だが真理を突いた答え。「自分もくじけずに訴え続けよう」と誓ったのが、ひと月前のことだった。この模様は、沖縄に始まった赤木雅子さんの全国行脚を描く6月24日発売の週刊文春の記事「赤木死すとも自由は死せず 『赤木ファイル』雅子さんを励ます地方紙の声」に詳しく記している。
ハンストで埋め立てに抗議
それからひと月、具志堅さんがハンスト=ハンガーストライキに乗り出した。6月23日は沖縄戦で組織だった戦闘が終わった沖縄慰霊の日。その日まで5日間ハンストを続け、遺骨を含む土砂を使う埋め立てに抗議する。
雅子さんはこれを開始当日の19日にネットのニュースで知った。それが冒頭の「今すぐ行きたい」というLINEになる。23日に雅子さん自身の裁判を控えタイトな日程ではあったが、私は答えた。
「行きましょうよ。きっと喜んでもらえますよ」
出発前にPCR検査を受けた上で、日帰りで沖縄を訪れることになった。
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「今度は私が応援したいと思って飛んできました」
6月21日午後2時、沖縄戦の犠牲者を悼む本島南部の平和祈念公園。23日に追悼式典が開かれるこの場所で、具志堅さんはハンストを続けている。その日、朝の便で沖縄に着いた雅子さんは、そっと近づき声をかけた。
「具志堅さん、赤木雅子です。ひと月前にお会いしました。遺骨収集の様子を見せて頂いた……」
「えっ、いやあ~いらしたんですか?」
「あの時はありがとうございました。すごく励ましてもらって。今度は私が応援したいと思って飛んできました」
具志堅さんは、改ざんで死に追い込まれた赤木俊夫さんを、沖縄戦の犠牲者に重ね合わせた。
「国の不条理を背負わされて、つぶされてしまったと思うんですよ。こういう不条理のそばを黙って通り過ぎる訳にはいかない。二度とこういうことを起こしてはいけない、ということが生かされない。沖縄戦の犠牲者も同じです」
「はっきり間違っていると言い切れることはそうそうありません。でも戦争で亡くなった人の遺骨を埋め立てに使うというのは、はっきり間違っているんです」