確かにストリップは裸と共に『芸』を見せる世界でもある。お客さんとは基本的に一期一会。その場の空気をジャックし、楽しさや高揚感を作り出すなどして場を盛り上げる才能もいる。そのため、松本さんはどんな角度で見られたら体がキレイに見えるのか、どんなダンスが向いているのか、トレーナーと日々研究しているという。3か月前から本格的に筋トレやストレッチを始め、ショーに向けた体作りにも余念がない。元運動部ということで体幹と腹筋には自信があるとのことで、頼もしい限りだ。
人に裸を見せるのは全然、抵抗がない。「でも…」
その他にもAVとの違いとして、ストリップで対峙するのはカメラではなく、生身の人間ということも挙げられる。大勢の人の前で肌を見せることは、松本さんにとってどんな意味を持つのだろうか。
「人前で肌を見せるのは、むしろ好きかもしれません(笑)。私、人に裸を見せるのに全然、抵抗がないんですよね。でも本当の私は、実は昔からとっても人見知りなんです。普段は、下を向いて人と目を合わさなかったり、人とすれ違うのも嫌でわざと暗い道を通ったりしているんです。ストリップでは、そんな普段の自分と違う自分になれるのも嬉しいし、そのギャップを楽しんでほしいです」
ストリップのステージに立つと一見大人しそうにみえる人が、全く雰囲気を変えたりする。エロス全開となったり、女神のような笑みを浮かべてくれたり、本人のイメージと全く違う姿を垣間見ることができる。そんな変化も魅力の一つかもしれない。
女性ファンを増やすきっかけは上原亜衣さんの引退公演
昨今女性ファンが増えているストリップだが、その皮切りになったのは、2016年に行われた超人気女優の上原亜衣さんの引退公演だ。上原さんは女性ファンも多く、公演には女性たちも詰めかけた。その後、地上波やNHKなどでも取り上げられるなどして、現代のストリップは確実に裾野を広げている。
ストリップの魅力の一つとして、全てを脱ぎ捨てて裸一つで舞台に臨み、その役に心の底から「乗り移る」女性たちの奇跡的な時間がある。私もそんな踊り子さんの懸命な姿に心打たれ、明日の生きる力をもらう。