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午後ティー、ジャワティ、クラフトボスTEA、紅茶花伝…伸び続ける「無糖紅茶」市場をリードするのはどこ?

2021/06/30
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 その食事会のメニューはフランス料理。フランス料理に合うどんなワインが出てくるのかを楽しみにしていたところ、工場内が労働協約でアルコールは禁止であったため、ワインの代わりとして食事と一緒に運ばれてきたのが、無糖の「アイスティー」だった。これが料理と大変よく合い、おいしかったことから帰国後すぐに開発に着手したという。

 大塚食品の担当者は当時を次のように振り返る。

「当時は、研究所の飲料担当の部隊が総出で“ジャワティ”の開発に取り組んでいました。単においしいアイスティーを目指したのではなく、あくまでも料理の味を引き立て、食卓を華やかに彩る “テーブルドリンク”を目指し、 “シンビーノ ジャワティストレート”が生まれました」

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 製品は、インドネシア・ジャワ島産の茶葉を100%使用した無糖・無香料・無着色の設計となっている。しっかりした味わいによりパンチがある印象なのは、茶葉の選択と製法によるものだ。食事に合う味わいを考え、口がさっぱりし、脂っぽい食事にも合う豊かな苦みの味覚設計となっている。発売当時は「ウーロン茶」ブームだったが、俳優の本木雅弘を起用したコミカルなCMも話題となり、市場の中で一定のポジションをつかんだ。

 なお、シンビーノ(sinvino)とは、スペイン語で“ない(without)”を意味するsin、“ワイン(アルコール)”を意味するvinoを組み合わせた造語で、ノンアルコールのテーブルドリンクというブランドのコンセプトを表している。

「午後の紅茶」初の無糖タイプは1990年に誕生

「ジャワティ」と「午後の紅茶」は無糖紅茶の黎明期から市場を牽引してきた (筆者撮影)

 紅茶飲料のトップブランドとして市場を牽引する「午後の紅茶」(キリンビバレッジ)も、1990年に「午後の紅茶」初の無糖タイプ「プレーンティー」を発売。その後、2011年には「午後の紅茶 おいしい無糖」を発売し、無糖紅茶の本格的な強化を開始した。食事に合う後味の良さを目指したという。2013年には「おにぎり公式飲料」を宣言。日本食のシンボルとの相性の良さを市場にアピールして注目された。

 コロナ禍だった2020年度においても、「午後の紅茶 おいしい無糖」は前年実績を上回って推移するなど好調だ。 “カレーに合う”などの食連動のコミュニケーションが好評だったことや、ECチャネル(ネット通販分野)での「おいしい無糖」大型容器9本入りの導入が寄与した。今年度も1-5月累計実績は約2割増(小型容器)と拡大している。