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この数年で特に注目を集めた「クラフトボスTEA ノンシュガー」

 こうして食事との相性を重視して始まった日本の無糖紅茶カテゴリーだが、現在の新製品の特徴は、香りの良さとすっきりした味わいにより、水やお茶など他カテゴリーのユーザーからも選ばれるようになっていることだろう。飲用シーンも食事中だけでなく、仕事や勉強、家事の合間など幅広く拡大し、女性からの支持も増加した。

 さらに、在宅時間が増える中でティーバッグなど嗜好品の紅茶を飲む機会が増加したことが、紅茶本来の味わいを楽しみたいというニーズに合った無糖ストレートティーの人気を後押ししている。

 飲料各社は新たな技術を取り入れて無糖紅茶の提案を活発化しているが、ここ数年で特に注目を集めたのは、2019年発売の「クラフトボスTEA ノンシュガー」(サントリー食品インターナショナル)だ。時間をかけて少しずつ飲んでも快適な味わいが続くことを目指したというその世界観は、まさにあの「クラフトボス」。コーヒーを飲まない層や紅茶好き層に向けて、選択肢を広げている。

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紅茶飲料の国内生産量(縦軸は万キロリットル、横軸は年) ※資料は一般社団法人全国清涼飲料連合会 ©文藝春秋

「クラフトボスTEA ノンシュガー」の特徴は、独自技術を用いた約200の工程で、紅茶の華やかな香りを高温・短時間で抽出しながら渋みを最小限に抑えたこと。スタイリッシュな容器を紅茶飲料市場に持ち込んだことも、紅茶飲料ユーザーの拡大に貢献している。

ミルクティーやフルーツティーが“看板”の「紅茶花伝」も参戦

(筆者撮影)

 2021年3月には「紅茶花伝」(コカ・コーラシステム)からも「紅茶花伝 無糖ストレートティー」が発売。ロイヤルミルクティーやフルーツティーで好調を続けていた「紅茶花伝」からいよいよ無糖紅茶が投入されると話題となった。豊かな香りと、渋みを抑えたすっきりした後味に対する満足度が高く、新規ユーザーの獲得に成功している。

 茶葉は、ダージリンとアッサムの産地の違う2種類をブレンドし、製法は、高圧・短時間の「エスプレッソ製法」を採用したことで雑味が少なく、素材の味が楽しめる。日本コカ・コーラ社の担当者は、無糖の新商品について次のように話す。「紅茶以外の飲料カテゴリーから幅広くユーザーが流入している。手淹れの紅茶が好調なことも追い風となり、無糖紅茶は今後も非常に伸びるポテンシャルがあると考えています」。