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住宅ローンを背負ってまでマイホームを持つべきか

 マイホームが財産ではなくても、賃貸より持ち家のほうが何かと安心だという考え方もあるだろう。「年を取ったら、賃貸物件を借りるのが難しくなる」といった懸念を抱く人 も少なくない。それぞれの価値観なので、それを否定するつもりはない。ただ、その「安心」は30年以上におよぶ多額の住宅ローンを背負ってまで、手に入れるべきメリットなのかをよく考える必要がある。

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 支払い能力さえ証明できれば賃貸物件を借りるのに年齢は問題とはならない。だからこそ、40代からライフプランを描き、貯蓄や引退後の安定的な収入確保に向けた準備が重要 なのである。そもそも、現在の40代の多くが高齢者となる2040年代半ばになると、消費者の約4割は高齢者になるのである。賃貸物件を扱う企業も高齢入居者を排除したのではビジネスが成り立たなくなるだろう。

 現状の高齢者向け物件といえば「サ高住」(サービス付き高齢者向け住宅)のような福祉サ ービスとセットというのが一般的だが、今後はさまざまな物件が登場してくるに違いない。

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 マイホームは結婚や出産をきっかけに購入することが多いが、近年、晩婚化・晩産化が 進んだことから、マイホーム購入年齢も高止まり傾向にある。国交省の「住宅市場動向調査」(2019年度)によると、マイホームを初めて買った年齢の平均は、分譲戸建てで36.8歳、分譲マンションで39.4歳だった。

 もし、この年齢で住宅ローンを組むと、完済日は現役時代をはるかに超えてしまう。定年前に返済を終えようとすれば、月々の返済額を多くしたり、繰り上げ返済をしたりしな ければならない。かなり厳しいやり繰りを迫られる。老後破綻の大きな要因だ。