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2017/11/01

教育のプロにまかせるボーディングスクール

 続いて、慶應義塾幼稚舎と交流を続けている「オックスフォード ドラゴンスクール」で16年間校長を務めたジョン・ボーさんは、これからの教育に必要なことをグローバル視点で話しました。

 印象的だったのが「遊びの時間の大切さ」を強調していたことです。これからの社会で必要になってくるのは創造力で、創造力を養うためには幼少期に遊ぶことが重要だそうです。テストの点を気にしたり、近視眼的になってしまいがちな親の姿勢を問われているようです。

 ボーさんは「未来の最高の教育機関はボーディングスクール」と語っていました。SNSで24時間不特定多数とつながる環境は、親世代にはなかったことです。親も仕事などで、充分に子どもの相手をしてあげられず、今の子どもは色々なストレスにさらされているというお話は納得できます。24時間、プロの教師や友人に囲まれ、安心で安全な環境でのびのびと学ぶことができるのが、ボーディングスクールということなのです。

ドラゴン・スクール前校長のジョン・ボーさん

広島に小学生対象のボーディングスクールが開校

 たしかにこれからの日本は両親とも働きながら子育てをすることが当たり前になっていくことでしょう。私自身思い当たりますが、仕事で疲れているときには子供にきびしくしてしまったり、じゅうぶんな時間を取れなかったという反省はあります。

 前述の末松弥奈子さんが語る中で、印象的だった言葉がありました。

「女性も仕事をすればビジネスと家庭の両方に責任を負うようになります。そのため、育児に充分な時間をさけず、母親は自責の念にかられ、子どもは我慢している家庭は意外と多いのではないでしょうか。ボーディングスクールは、教育やしつけをプロに任せ、子どもがやりたいことをかなえる最高の環境ですし、それによって家族や夫婦の関係にも余裕が出来ます。私も子供を全寮制に入れるときにはずいぶん悩みましたが、子供はすぐに慣れますし、日本に帰ってきたときに子供と満足度の高い時間を過ごすことが出来ます」

 実はセミナーを開催した次世代教育環境開発は、2019年4月に日本では珍しい小学生を対象としたボーディングスクール「学校法人 神石高原学園(予定)」を開校するための準備を進行中だそうです。日本語と英語で学ぶイマージョン教育を中心に、学校教育法第一条に規定されるいわゆる一条校を目指しながらも、IBにも対応予定だそうです。

 どこか遠い国のことと思っていたボーディングスクールですが、親に安心と余裕がうまれ、夫婦関係や親子関係が良好になるというお話には惹きつけられるものがありました。自分の仕事に加え、家事や子どもの勉強や習い事のフォロー、さらには介護に奔走している母親に自分の時間ましてや夫婦の時間なんてありません。一生懸命やっているのに、どれも中途半端で空中分解しそうな母親にとっても、夢のような環境だと思います。

学費の高さも悩みの種 ©iStock.com

 ただ、気になる費用は寮費、学費を含め年間500万円ほどとのこと。我が家を含め、一般家庭にはあり得ないお値段です。しかし、年間100万円ほどの私立授業料を払い(インターなら200万円)、さらに塾や習い事に年間50〜100万円をかけ、夫婦ともにバリバリ働いている家庭なら、費用対効果を考えるとあり得る金額かもしれません。

 幼少期の子どもをどのような学習環境に置くかは、親の選択にかかっています。セミナーに参加して、スッキリするどころか増々迷ってしまいました。いつの時代も情報収集に奔走し、試行錯誤をしながら子どもの教育に悩む親の姿は変わらない。「孟母三遷」の教えは存在し続けるのでしょう。

 

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