混沌とする将来を生き抜く小学校教育とは?
今年の小学校受験シーズンも、そろそろ終わろうとしています。
私はインターナショナルスクール(幼稚園)年長に通う息子がいるのですが、やはりついこのあいだまで、どこに通わせようか悩んでいました。息子の同級生を見ても、公立小学校、私立・国立小学校、インターナショナルスクール、海外留学と進路はさまざまです。
地方出身で、公立小学校に進学するのが当たり前だった私は、いまの時代の教育熱の高さに驚いてしまいます。私もそうですが、先が見えにくい今、子どもの将来を考える親はだれもが必死になっているからなんでしょう。特に東京に住んでいると、なまじ選択肢があるだけに迷ってしまいます。
そんなとき、海外の小学校進学事情を解説するセミナーが開かれると聞いて、参加してみました。
世界の小学校教育事情
日本の小学校は義務教育で、文科省の下、法律(教育基本法や学校教育法)に定めた内容の教育がなされています。いっぽう、海外に目を向けると、各国の公教育のほかに、タレントの紗栄子さんの渡英で話題になったボーディングスクール(全寮制の学校)や、国際バカロレア(IB)があります。
4歳くらいから親元を離れ、寮生活をしながら通学するボーディングスクールは、ヨーロッパでは100年以上の歴史があります。勉強だけでなく、24時間しつけや自立、団体生活も含め、少人数制で質の高い教育を受けることができるのが特徴です。たとえばスイスには、世界中から学生が集まり、学費は年間1,000万円を超える超セレブな学校があり、スイス国王や故ダイアナ元妃の恋人ドディ・アルファイド氏が卒業生に名前を連ねます。
王侯貴族や世界中の大富豪のご子息と寮生活をともにすることで築ける関係はプライスレスでしょうが、仮に学費の問題はクリアできたとしても、小学生の子どもをひとりで海外の全寮制に入れるという決断が出来るかといえば、親として考えてしまいます。ここ最近、日本人家庭でボーディングスクールに進学させる例は増えてきたようですが、現実的にはかなり少数派です。
一方、最近よく耳にするようになったのがIBです。IBとは国際バカロレア機構によって運営されている総合的な教育プログラム。3〜12歳対象のプライマリ・イヤーズ・プログラム(PYP)、11〜16歳までのミドル・イヤーズ・プログラム(MYP)、16〜19歳までのディプロマ・プログラム(DP)があります。
IBの教育理念は「全人教育」。詰め込み暗記型ではなく、幅広い知識と教養を身につけることが求められ、思考力や表現力が重視されます。DP修了生が難関大学に入学し、好成績を残していることや、「2018年までに、日本の高校200校にDPを導入する」という計画が文部科学省から発表されたこともあって、俗に言うグローバル教育として関心が高まっています。
既存の日本教育ではなく、IBのような世界レベルの教育を望む家庭が増えているのは事実で、少子化にもかかわらず、この数年、日本中にインターナショナルスクールが新設されています。2014年には軽井沢に「インターナショナルスクール・オブ・アジア軽井沢(現・ユナイテッド・ワールド・カレッジISAKジャパン)」が出来ましたし、広島県は2019年に中高一貫の県立「広島叡智学園」を設立、東京でも2018年度から小学校からのIBコースを新設した千代田インターナショナルスクール東京が開校します。
こうした背景を受け、10月に世界の最先端教育に興味がある親に向けた「小学校教育のこれからを考えるセミナー」が開催されました。