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個人主義と評したアメリカでも、実は、日本同様に“学歴”が新たな階級となる。ジョー・バイデンは、36年ぶりのアイヴィーリーグ大学の学位を持たない民主党大統領候補だった。そういう社会で、裕福な親たちは我が子を一流大学に入れるために、悪辣な受験コンサルタントに大金を払い、巧妙な不正工作に手を染める。
「家」は嫁いだ女たちに「帰る場所」を用意する制度でもある
私はイギリス王室に同情的だが、とはいえ、メーガン・マークル妃の問題の背景には、白人を頂点とし黒人やアジア人を劣位に置く人種による階級ピラミッドが根深く横たわる。個人の自由を尊んだはずの私たちのこの時代は、新たな階級社会に突入しつつあり、どの社会でも身分秩序を破ろうとする者は嫉妬や軽侮を受ける。
そういう数々の階級社会の中で、「家」は封建的な旧習である反面、嫁いだ女たちに「帰る場所」を用意する制度だったという側面も見逃せない。子どもができない、姑と合わない――不合理に離婚を突きつけられた女たちは、実家に戻って、その経済基盤を頼れる。外界の荒波にもまれた小舟は、それでも実家という帰るべき港の燈を胸に抱くことができた。
だが、眞子さまの場合には、一旦、皇籍を離脱すればもはや戻る家などない。退路を断ってまで自らの意思で人生を切り拓くと決意した若き内親王へのはなむけに、なんらか温みのある居場所を社会の中に用意してあげられないものだろうか。