主人公は、まだ15歳の伊達政宗。謎の忍び集団と闘いながら成長していくのだが、初代朝宗から第16代までの歴代当主が登場し、第17代の政宗と「合体」することで並外れたパワーを発揮し、敵を倒すという設定になっている。
伊達家は、初代朝宗が伊達市内の高子岡(たかこがおか)に城を築き、第15代晴宗が山形県米沢市に移るまで、現在の伊達市内に居城を構えた。その歴史がアニメを通じて分かる。政宗が初陣の戦勝祈願をした市内の梁川(やながわ)八幡神社なども登場する。
声優陣は豪華なラインナップ!
福島県出身の浅尾社長は熱い思いを持って制作を進めたようだ。
福島ガイナックスはそれまで、福島県の地銀・東邦銀行のCMしか制作しておらず、当時の仁志田(にしだ)昇司市長と共に行った制作発表会見では「キャラクターやストーリーを作成するアニメ作品としては当社で初めてになる」と語った。
しかも、同社が進めようとしていた「きらりなワンダープロジェクト」の第1号だった。「各地方のキラリと光る潜在的な観光資源を発掘。アニメを通じ観光拠点を整備し(聖地化)ツーリスト増加を図る」(発表資料より)という企画だ。アニメで巡礼客を呼び込もうというのである。
仁志田市長は「アニメの聖地として伊達市に来る理由ができることに意義があり、来ていただいて安心・安全を感じてほしい。特に海外はフクシマに対する誤解があると思う」と述べた。
新進気鋭、ベテランの声優がラインナップされた。浅尾社長はその後の記者会見で「福島に足を運んでほしいという思いがあるので、積極的にイベントに協力していただき、さらにはファンがたくさん来てくれるような声優を中心に選んだ。福島に縁があることも意識した」と述べている。
トークショーにはコスプレ姿の女性が長蛇の列
主役の第17代政宗は村瀬歩さん。宮城県を舞台にした高校バレーボール漫画『ハイキュー!!』がアニメ化された時の主役も務め、『政宗ダテニクル』が公開された2016年には、第10回声優アワードで新人男優賞に選ばれている。政宗に11歳で嫁いだ愛(めご)姫の役は、福島県いわき市出身のブリドカット セーラ 恵美さん。初代朝宗は、米国俳優のトム・クルーズの吹き替えなどで有名な森川智之さん。
作品は1話15分程度。2016年4月から完成するごとに市内を会場に、上映会や声優のトークショーを開いた。
当時は担当外の地域振興課にいた野田課長も第1回目の上映会に行ってみたのだが、長蛇の列ができていてびっくりした。