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「カズ」「ラモス」「武田」の知名度には勝てない今

――実際に映画のパワーというものをどんなところで感じたのでしょうか。

播戸 僕が映画に出演するという記事がヤフーのトップに出ていると聞いて。そうしたらボンボコ、連絡が来るんですよ。サッカーでゴール決めたとかプロを引退したときよりも多い(笑)。「凄い反響やな、やっぱ映画って凄いな」って。映画ってかつては娯楽の代表だった時代があって、その頃と比べると勢いは違うのかもしれないですけど、今も産業としてはとても大きいなと感じました。

 

――以前、話をうかがったときに「昔のJリーグはキラキラしていた」と現状への危機感を口にしていました。そういった考えの裏には、サッカー人気が下がってきているという認識があるんですか?

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播戸 はい、そう思っています。Jリーグが開幕した1993年当時は、放っておいてもチケットは売れるし、露出も多いし、世間の人々も選手の名前をある程度知っていたはずです。でもそこから28年経って、当時と比べると露出は極端に言うと100分の1くらいになっているような印象を受けます。

 僕らは(現役のときから)「サッカーを盛り上げるぞ、サッカー以外のところでもアピールしていくぞ」と思ってやってきましたけど、やっぱりカズさん、ラモス(瑠偉)さん、武田(修宏)さんたちの知名度には勝てない。僕自身、凄く危惧しているところだし、Jリーグのクラブももっと選手たちをどう露出させていくかを考えなきゃいけない時期にあると思うんです。やれ試合が大事やからとか、やれ選手に集中させたいからとか、分かるんですけど、もっと柔軟に考えていくべき。いろんな人に見てもらわないと日本サッカーの市場そのものが大きくなっていかない。

2008年のクラブW杯ではマンチェスターUとも対戦した ©文藝春秋

サッカーもエンターテイナーの意識を持つことが大切

――Jリーグのクラブは増えていて、それなりに人気も定着してきたとは思うのですが、昔のような爆発的なところまでにはなかなか及びませんよね。

播戸 クラブの数は最初の10から、現在はJ1からJ3まで合わせて57になって、選手の数も増えています。でも世間一般の認知・関心は年々減っていると僕は感じています。日本代表でもドーハの悲劇、ジョホールバルの歓喜、フランスワールドカップ初出場、日韓ワールドカップとずっと国民のみなさんの関心ごとだったわけじゃないですか。今は仕事でいろんな人にお会いしたりしますけど、「次のワールドカップはどこでやるんですか?」とか「今は代表に誰がいるんですか?」とか、結構そういうこと聞かれるんです。

 でもこれってクラブ、Jリーグ、日本サッカー協会などサッカーの組織にいたらあんまり感じない。いろいろとサッカーの外に(アンテナを)向けている自分だから感じるんじゃないか、と。