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「ACLの決勝でもあそこまでの緊張感はなかったです」 元サッカー日本代表が“ヤクザ映画”に出演して感じた「役者の凄み」

播戸竜二さんインタビュー #1

2021/07/04

 ギロッと胴元の男を睨みつけながら賭場でカネを置く。

 スーツから白いシャツの大きな襟を出し、落ち着きなく周りを威圧するように見渡すサマはカタギに見えない。

 出番にして数秒の端役ではあっても、インパクトはあった。“俳優デビュー戦”に臨んだ播戸竜二はサッカー元日本代表ストライカーらしく限られたチャンスながら作品に爪痕を残そうとした。

“俳優デビュー戦”に臨んだサッカー元日本代表・播戸竜二さん

『孤狼の血 LEVEL2』(東映/8月20日公開)は、第42回日本アカデミー賞ではその年最多の12部門において優秀賞(最優秀4部門を含む)を獲得するなど話題を呼んだ2018年公開の前作、『孤狼の血』の続編になる。暴対法成立前の平成初期、広島の架空都市・呉原市がその舞台。暴力組織の壮絶な抗争から3年後の世界が描かれた完全オリジナル版だ。呉原の裏社会を取り仕切っていた刑事・大上章吾(役所広司)の遺志を引き継ぐ松坂桃李演じる一匹狼の刑事・日岡秀一を主人公に、前作以上のドラマとバイオレンスが繰り広げられていくという内容だ。

「賭場の男」として出演した播戸は、勝負強い熱血ストライカーとしてサッカーファンに愛されてきた。1998年にガンバ大阪でプロキャリアをスタートさせ、多くのクラブを渡り歩いて2019年にプロ引退を表明。Jリーグ通算396試合、日本代表では7試合に出場している。現在はJリーグ特任理事、日本サッカー協会アスリート委員、9月に開幕する日本女子プロサッカーリーグ(WEリーグ)理事などを務める彼が、なぜ俳優にチャレンジしたのか。そこには、「あらゆる分野での活動をサッカーに還元したい」という思いが隠されていた――。

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カメラが向けられたときは“オッ”と思いました

――試写を見ましたけど、かなり怖い目つきでしたね。

播戸 当日のリハーサルが終わって白石(和彌)監督から「播戸さんいいですよ。いいですけど、賭場の客としてこのひと勝負に負けたら、人生終わってしまうくらいの雰囲気をさらに出してください。ゴールを狙う目つきでやってください」と言われたんです。自分のなかでイメージして、イライラを出そうと貧乏ゆすりをやって、周りはどうなんやって見回して。

 あとで自分のシーンの写真を見て、「この試合絶対、点を獲らなアカン」っていうときはああいう目つきやったなと思い出しました。プラスして、悪そうに(演技で)盛り込んだところはありましたけど。

 

――本番となると緊張したと思うのですが。

播戸 セリフがないというのもあったので、集中できましたね。ワンプレー、ワンプレー全力を出すことはサッカーでもやってきましたから、ここはサッカーと同じだろうと思って。カメラが移動してきて自分のほうに向けられたときは“オッ”と思いましたよ(笑)。