「夫は、これで3回殺されたんですね……」
赤木雅子さん(50)はそうつぶやいた。安倍晋三前首相その人の公式ツイッターを見て。
赤木氏は明確に記している。
— 安倍晋三 (@AbeShinzo) June 24, 2021
「現場として(森友学園を)厚遇した事実はない」
この証言が所謂「報道しない自由」によって握り潰されています。
《秘書アップ》 pic.twitter.com/uzjXglpeCa
〈赤木氏は明確に記している。「現場として(森友学園を)厚遇した事実はない」この証言が所謂「報道しない自由」によって握り潰されています。《秘書アップ》〉
この公式ツイートにある「赤木氏」とは、雅子さんの夫、赤木俊夫さん(享年54)のこと。4年前、森友学園との国有地取引を巡る公文書を改ざんさせられ、それを苦に命を絶った。
俊夫さんが生前、改ざんの実態をまとめた「赤木ファイル」と呼ばれる文書が6月22日、ようやく国から妻の雅子さんに開示され、マスコミで大きく報じられた。その2日後、安倍前首相の公式ツイートが投稿されている。一体なぜだろう? そして雅子さんはなぜこれを「夫は3回殺された」と表現したのだろう?
首相が揶揄した赤木ファイルの記述
赤木ファイルの冒頭で、赤木俊夫さんは確かに以下のように記している。
本省(財務省)の問題意識は、調書から相手方(森友)に厚遇したと受け取られるおそれのある部分は削除するとの考え。現場として厚遇した事実もないし、(会計)検査院等にも原調書のままで説明するのが適切と繰り返し意見(相当程度の意思表示し修正に抵抗)した
この「現場として厚遇した事実もない」という部分を、安倍前首相の公式ツイートはとらえている。
財務省近畿財務局は鑑定価格9億5600万円の国有地を8億円以上も値引きして1億3400万円で森友学園に売った。その土地に建つ小学校の名誉校長が安倍首相(当時)の妻、安倍昭恵さんだったから、「首相の妻に忖度して不当に値引きしたのではないか?」と国会で追及された。これに対し安倍氏は「私や妻が(取引に)関係していたら総理大臣も国会議員もやめる」と見得を切った。
だから今回の赤木ファイルの「厚遇した事実もない」との表現をとらえ、マスコミに「報道しない自由で握り潰されている」と揶揄した。一見もっともらしく思える。