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 事実の認識が間違っている。財務省の職員が大臣に耳打ちする。

「赤木さんがまとめたファイルです」

 だが麻生大臣の答えは、記者の質問と最後までかみ合わない。

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「全然頼りねえ顔してるけど、質問するんだったらちゃんと、きちっと知ってないと具合悪いよ」

 きちっと知ってないと具合悪いのは麻生大臣の方だろう。

赤木雅子さんは「馬鹿にされたように感じます」

「厚遇した事実もない」という赤木ファイルの記載の持つ意味と、安倍前首相の公式ツイートのことを知らないのだろうか? それとも知っているけれど、それこそ具合が悪いからはぐらかしたのだろうか? いずれにせよ財務大臣にふさわしい態度とは思えない。

 記事を読んで赤木雅子さんはあきれた。

「麻生さんは財務大臣で、夫の上司だったんだから、もう少し夫のことに真剣に向き合ってほしい。赤木ファイルについてきちんと理解して話してほしい。遺族のことが見えていないと思うし、馬鹿にされたように感じます」

 安倍前首相、麻生財務大臣。森友学園への国有地値引き売却も、土地取引をめぐる公文書改ざんも、このお二人が責任者の時に起きた。しかしお二人の態度からは、その責任を感じているようには見えない。

誰の発案だったのか? 再調査を麻生大臣はまたも拒否

 赤木ファイルでわかったこと。改ざんの最初から、財務省は安倍昭恵さんや安倍前首相の名前を削るよう現場に事細かに指示していた。財務省が何を気にしたかがわかる。佐川宣寿理財局長(当時)の指示で国会答弁に合わせ書き換えた。

 まだわからないこともある。こんな大それた行為を誰が発案したのか? 改ざんを指示した佐川氏に、さらに指示した人物はいないのか? 省内で改ざんはどのように指示伝達されたのか? わからないから再調査が必要だが、麻生大臣はまたも拒否している。

 それでも赤木雅子さんは、夫が安倍さんに“3回殺され”ても、真相解明の再調査を求め続ける。

「何回殺されてもわたしは何回でも助けに行きますから。諦めません」

写真=相澤冬樹