告発を「なかったこと」にする“三度”の殺人
改ざんは、安倍前首相の「関係していたら総理大臣も国会議員もやめる」という答弁が発端になった。それは財務省も認めている。改ざんで財務本省が近畿財務局にメールで真っ先に指示したのは、安倍昭恵さんや安倍首相(当時)の名前を消すことだった。それが赤木ファイルで初めてわかった。だから大きく報じられた。これで「関係ない」と言えるだろうか?
赤木雅子さんから見れば、安倍首相(当時)の発言が発端となって夫が改ざんをさせられ、死に追い込まれたのが「第一の殺人」。真相解明の再調査を拒否されたのが「第二の殺人」。そして今回の安倍前首相の公式ツイートは「第三の殺人」。すべては俊夫さんの告発を「なかったこと」にするものだと雅子さんは憤る。
「夫が死に物狂いで残した赤木ファイルを汚されたような気持ちがします。安倍さんは自分の発言が改ざんを招いた責任を感じてほしいです」
ツイートには「秘書アップ」とあるが、安倍前首相本人の公式ツイッターであり、責任は免れない。225万人もの人がフォローしていて、5万4000もの「いいね」が付いているのである。
赤木ファイルと安倍前首相の公式ツイートについては、発売中の「週刊文春」(7月8日号)でさらに詳しくお伝えしている。
「あまり細かく知らない」と答える麻生財務大臣
赤木ファイルの「厚遇した事実もない」という記載と、それを受けた安倍前首相の公式ツイートについて、7月2日、麻生太郎財務大臣の会見で東京新聞の記者が認識をたずねた。やり取りを毎日新聞が詳しく報じている。それによると、麻生大臣はこう答えた。
「あまり細かく知らないねえ。それしか答えようがないよ今。質問の意味をもう1回、俺に分かるように分かりやすく説明してごらん」
財務省の最高責任者である財務大臣が「あまり細かく知らない」と答えること自体、問題を軽く見ていることを示す。さらに麻生大臣は、重ねて「厚遇した事実」について認識をたずねる記者にまともに答えない。
「赤木ファイルとして厳然と存在しているわけじゃありませんから。あんた分かってないで質問なんかするなよ。赤木さんが関与したと思われるところだけずーっと出して、その全てを出したのをまとめて、赤木ファイルと呼んでいるんだよね」