ある企業は、この5カ月(今年1月~6月30日まで)で、677ウォン(約66円)だった株価が6500ウォン(約637円)へ、別の企業は2845ウォン(約279円)の株価が2万2400ウォン(約2195円)へと跳ね上がった。それぞれの上昇率は860%と687%。
時の政治家の政策や地縁、血縁、出身校関連により動く「政治テーマ株」。来年3月の大統領選挙候補者を巡る「大統領選テーマ株」もこの春頃から動き出しており、冒頭の2社は前者が「李在明京畿道知事」関連株、後者は「尹錫悦前検事総長」関連株だ。
大統領選挙の出馬ラッシュ続く
韓国では大統領選挙への出馬宣言ラッシュが続き、秋の予備選挙までの熾烈な闘いが始まって、かまびすしくなってきた。
正式に出馬宣言をしていない候補者まで含めると、与党「共に民主党」からは8人、野党側からは13人もの候補者が乱立している。
各世論調査で1位、2位を争い、今のところ次期大統領として有力視されている尹前検事総長は無所属のまま野党側の候補者のひとりとして6月29日に、李知事は2日後の7月1日に出馬宣言を行った。
尹前検事総長は「反文在寅政権の象徴」として浮上した人物。
2019年9月から文在寅大統領の側近として知られた曺国元法相一家への捜査を押し進め、辞任に追い込むと現政権との確執は決定的なものとなった。
検事総長は大統領が指名
検事総長は大統領が指名する。かつて李明博、朴槿恵両元大統領を起訴に持ち込んだ手腕を買われての抜擢だったが、「人には忠誠を尽くさない」という言葉通り政権に忖度しないその姿勢に保守派や文在寅政権へ不満を持つ中道層からにわかに注目が集まった。
その名前が次期大統領候補として初めて挙がったのは、昨年1月。当時は1%(世論調査「韓国ギャラップ」)ほどの支持率にすぎなかったが、現政権が尹前総長を叩けば叩くほど、支持率は上昇するばかり。曺元法相の後任、秋美愛前法相との1年あまりのバトルは尹前検事総長の人気をさらに引き上げたといっても言い過ぎではない。ちなみに秋前法相も与党から大統領選挙の候補者として名乗りを挙げている。