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 Bさんの感覚としては、3年後に300万円が支払われる債権が手元にあるようなイメージなのだろう。確かに、これが見込みどおりにいくのであれば、実質的な負担額としては15年で500万円強、ということになる。年間にして35万円程度だ。

中古車とコスパを比べた「意外な結果」

 車両価格の負担を、中古車の場合と比べるとどうなるか。

 中古車情報メディアのカーセンサーによれば、2020年における中古車の平均購入価格は135.5万円である(出典:「中古車購入実態調査2020」リクルート調べ)。保有期間については、日本自動車工業会の「乗用車市場動向調査」にデータがある。2019年度の調査では、中古車ユーザーの平均保有期間は「6.7年」とされている。1年あたりにすると、「20.2万円」を車両代に充てている計算だ。

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 しかし、これだけを見て「中古車はやはり安く済む」と考えるのは早計である。平均値のように中古車を6~7年乗るのであれば、2~3回の車検に加え、少なくとも1回はタイヤ交換が必要になる。これらは「車検ごとに新車乗り換え」のケースでは通常発生しない費用だ。

 これらの費用を30万円と仮定して再度計算すると、1年あたりの負担は約25万円になる。ここで、Bさんのケースと同様、車の「残存価値」を考慮してみる。が、中古車に6~7年も乗れば、一部の車種を除いて価値はゼロに等しくなってしまうだろう。

 実質年35万円ほどの負担で3年ごとに400万~500万円の高額車を乗り継ぐ形と、年25万円ほどの負担で6~7年おきに150万円弱の中古車を乗り継ぐ平均的なモデルとを比べた場合、「コストパフォーマンス」が優れた乗り方はどちらだろうか。価値観にもよるが、「車検ごとの乗り換えが得」という根拠は十分あるように思える。

中古車は「どんな風に使われていたか」を想像してしまう?

 このように、「コスパ」という観点1つでも、中古派と新車派の見解は対立する。どちらが正しいかは状況によるけれども、中古であれば「値落ちの激しい車種」、反対に新車であれば「値落ちしにくい車種」を選ぶことが、コスパを高めるポイントになりそうだ。

©iStock.com

 もしろん、コスパ云々以前に、「新品である」ことに価値を置く者も多い。「そもそも人が使ったモノなど考えられない」と、はじめから中古という選択肢を考慮に入れていない新車派もいるだろう。実際に、以下のような経験談も聞かれた。

「若いときは普通に中古買ってましたけどね。自分の子どもを乗せるようになって、何度か車内で吐いちゃうことがあって。そこで『あ、中古ってこういうことか』みたいな、生々しく想像できちゃって。しかも、ミニバン選ぶじゃないですか、子どもがいると。自分も子どもが生まれてミニバン買おうと思ったとき、中古のミニバンってキツいなぁって」

 どんな使われ方をしたのかわからない、というのは中古車全般に言えることだろうが、利便性の高さゆえ広い用途に対応するミニバンは、ことさら「こんな風に使われていたかも……」といった想像の範囲が広がってしまうのかもしれない。