「気兼ねなく使える」中古の魅力
反対に、「新車だと気を遣ってしまうのであえて中古派」という意見もあった。
「なんか新車のピカピカ感が苦手なんですよね、どうしても気を遣っちゃって。傷つけたくないのもそうだし、『自分はそんな大した人間じゃないのに』みたいに思っちゃうんですよね。自分的には、いわゆる下駄車ですけど、なんも考えずに使い倒したくて。せっかく道具だし、自慢する相手がいるわけでもないですし」
たとえば免許取り立ての人間に対してであれば、「どうせ最初はぶつけるから中古にしておきな」といった助言がなされることもある。中古の方が気兼ねなく使える、というのはある程度共通了解として通用しているように思えるが、これほど潔く割り切っているのも珍しいだろう。
「ネットなんかだと『中古とか恥ずかしくないの?』みたいな煽りもよく見ますけど、現実でそんなこと言ってくる人いませんしね。他人の車が中古かどうかなんて、普段気にします?」
確かに、知り合いの車が新車で購入されたかどうかなど、わざわざ詮索したりはしないだろう。中古車に乗ることを「恥ずかしい」と考える向きもあるが、実際に「新車かどうか」を気にしているのは持ち主だけで、他人から見れば中古も新車も同じ、とも言えるのかもしれない。
販売スタッフの考えるメリットは
新車・中古車を販売するディーラーのスタッフは、それぞれの強みをどのように考えているのだろう。中古車ディーラーの販売員は次のように言う。
「やっぱり中古は選択肢ですかね。同じ予算でも色んな車が選べる。たとえば200万なら、新車だと軽かコンパクトになりますよね。中古なら、ミニバンからSUV、それこそ高級車だって候補に入ります。ちょうどウチに置いてるフーガがコミコミ200万とかになりますかね。5年落ちで7万km近く走ってますけど、もともと600万とかするガチの高級車なんで、乗り心地とか性能とか、コンパクトとは比較できないレベルです」
新車価格が上昇し、軽自動車でも200万円を超えることが珍しくなくなった現在、限られた予算のなかで用途に合わせた車種を選べる、というのは魅力的である。加えて、先のAさんのケースのように、値落ちの激しい車種であれば「お買い得感」も高くなるわけだ。
「セダン系はやっぱり人気落ちてるんで、値崩れもしやすいですね。人気がないイコール駄目な車ってわけじゃなくて、いい車なのに売れないってパターンも沢山あるので、中古でそういう車種を狙うのは賢い選択だと思います。日産のティアナとか、『そういえばこんな車あったっけ』みたいなヤツですね。クラス的には準高級車って感じでモノはいいのに、3年落ちで100万後半から探せちゃうんで」