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「全体的に命が軽いような気が…」

――これからも研究は続けていくのでしょうか?

佐々木 歌舞伎町の未成年については今後も研究していきたいなと思っています。情緒を安定させる作用があるのかなと思うので、集まる分にはいいと思うんです。ただ、飛び降りとか、命を、というところになってしまうと、やっぱり何かアクションをしないと、とは思います。先ほども言ったように自殺や集団リストカットが増えていて全体的に命が軽いような気がするので。

道端に倒れる人    ©今井知佑/文藝春秋

 推しカルチャーとかモテ経済とか、ある種資本主義が人を殺しにかかっていると個人的には思っています。人を資本として消費し始めている…。「こうしなきゃモテない」「こうでなきゃ人じゃない」「素晴らしい人間てこんな人です」ってなんか常にあるじゃないですか。人として消費されると、どうしても自分を取り繕ってしまうこともあるんですよね。こういう自分でいなきゃ社会から必要とされないよね…って。

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 だから本当の自分と乖離が生まれていく。私も、「チワワちゃんが好きです」とか「チワワちゃんってきっとこんな人なんでしょうね」とDMが来てちょっとしんどかったりとかあります。ありのままを見てくれたり、バックグラウンドで人を判断しない人の存在が必要です。

歌舞伎町にあるドラックストア。一見普通のドラックストアだが、のぞいてみると、普通のドラックストアには置いていないものばかり    ©今井知佑/文藝春秋

――ホストはそういう役割をしてくれていると。

佐々木 そうです。ホストはどんな子であれ、お金を使ってくれれば承認してくれるんですよね。世の中に誰にでもできる仕事があふれて、「あなたにしかできません」って仕事が減っている中、満たされないと感じる人が増えてるって言われていますよね。

 お金を使うこと、使われることで、誰かにとっての必要な存在になっている。両方の相互作用が成り立っている。ある意味、この時代に貴重な存在だと思います。これからもそんな歌舞伎町の研究を続けていきたいですね。