“大型車通行不能”の酷道が令和に誕生
とはいえ、酷道が新たに誕生したといっても、手放しでは喜べなかった。これはあくまでも私の主観に基づくものだが、ここ20年間で酷道は50本ぐらい消滅している。酷道が新たに1本誕生したところで、確実に消滅へと向かっている大きな流れは変わらないだろう。
……と、そう思っていたが、翌年の2019年には、また新たな酷道が誕生した。国道482号の分断区間が、酷道として開通したのだ。先の国道416号と同じパターンだ。もちろん私はすぐ、現地に向かった。
兵庫県豊岡市で高速道路を下り、国道482号に入る。しばらくは普通の2車線道路が続いていたが、鳥取県が近づいてくると道路の様子が一変した。突然、道幅が急激に狭くなったのだ。
そこから10分も走らないうちに、酷道として新規開通した区間に入った。舗装もガードレールもピカピカだが、とても狭い。“大型車通行不能”の看板が立っていたが、軽自動車でもギリギリの狭さだった。
6.4キロでも存在感は十分
前年に開通した416号は、道幅が狭くても安定感があり、「酷くても国道」だと感じた。しかし、この482号は、舗装こそ新しいが道幅が一定ではなく、安定感がない。
その理由は、ここが新しく造られた道路ではないからだ。もともと、昔からあった未舗装の町道を2001年から舗装し、国道へ昇格させて分断区間を解消する計画が立てられていたが、2004年の台風で甚大な被害を受け、中断を余儀なくされていたのだ。それから15年の時を経て復旧が実現し、悲願の開通となった。
元々町道だったため、線形は決してよくない。カーブの途中で角度が変わるので、ハンドルを切り直す必要があるのだ。そんな道なのに何もかもがピカピカというのが、それはそれで面白い。
軽自動車でも狭いと感じる酷道を走っていくと、鳥取県との県境に到達した。開通した直後に訪れたため、まだ側溝を造っている途中のようだった。
そこから鳥取県若桜町へと峠を下っていくと、すぐに2車線道路になった。県境の酷道区間は10キロほどで、そのうち新規開通したのは6.4キロ。短いながらも存在感は十分だった。