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《伝説のAV男優》「今まで父親のロクな思い出がなかっただろうから…」余命1年の沢木和也が何も知らない息子に残した別れの“言葉”

『伝説のAV男優 沢木和也の「終活」 癌で良かった』より#2

「FC2のマーケットに超有名AV女優達の無修正動画が売られてる」騒動

 というのも、そいつは元々飯島愛ちゃんの事務所の人間で、それが円満退社して独立するってことだったから、身元がしっかりしてると思って信じちゃったんだよ。そいつこそ会っていきなり握手してくるタイプの人間で、口が上手くて、「将来のことを考えたらAV男優だけじゃ食えないぞ」とか、色々と言ってくるの。

 最終的に「資本金1000万円必要だから、あと1人出資者を探して、300万円ずつ出そう」なんて計画になって300万円渡したんだけど、少ししてから「事業に失敗して会社が潰れて金が返せなくなった」と伝えられてさ。その時も最初は「まあ仕方ないよな、制作会社なんてそんなに甘くない商売だもんな」と納得したんだけど、少し時間を置いて何となく社名を調べてみたら、本当は潰れていなくて、元気に商品を制作して売り続けていたんだ(笑)。結局、そいつは俺に配当を渡すのが嫌でウソをついてたの。

 いきなり握手系でいうと、ほんの何年か前にモザイク編集前の素材をFC2で売り捌こうとしてAV業界を騒がせたAV監督の南波王ってヤツがいたんだけど、そいつも挨拶より先に握手って男だったな。

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うな重を食べる沢木和也氏

 彼は有名メーカーの出身者だったはずだけど、そういう業界歴の長い会社から出たとは思えないくらいやることが無茶苦茶で、スタッフはおろかAV男優に対しても未払いばかりだったんだ。AV女優はプロダクションがあるから優先して金を払っていたはずだけど、それがないフリーの技術スタッフとか、AV男優とかは、あの手この手でツケにしてて、さらにあっちこっちの業界人から金を摘んで、最終的に飛んじゃった。

 それから少しして起きたのが、あの「FC2のマーケットに超有名AV女優達の無修正動画が売られてる」って騒動だったんだ。その時に流れた素材って、ほぼ全てその南波王が撮影した作品ばかりだったの。いくらなんでも話が分かりやす過ぎるよな。

 俺の中でAV業界人ってそういうことを仕掛けてくるクズばかりって印象があって、業界歴が長くなるにつれて業界人不信も強くなっていったんだ。金が絡む話ではAV業界の人間なんか頭から疑って掛かってた。

 だからこそ、今こうして癌になって金が必要になった時に、まりかちゃんや、友田真希ちゃん、川上ゆうちゃんらがチャリティー企画を立ち上げて、集まった多額のお金を丸ごと送ってくれて、心の底から感激したんだよ。