昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

《AV男優・沢木和也》「籍を入れるなら縁を切る」「女房の父親とはそれ以来一度も会えず終い…」妻と2人で歩んだ“波乱の27年間”

『伝説のAV男優 沢木和也の「終活」 癌で良かった』より#1

 2020年4月11日。緊急事態宣言が発令され、新型コロナウイルスによるパニックが本格化していた時期に、とある男性がTwitterでステージ4の癌により、余命1年を宣告されたことをカミングアウトした。ツイートの主は沢木和也。1980年代から活躍しているベテランAV男優だ。

 それから今年5月にこの世を去るまで、彼は自分の人生の「終活」を続けた。病気のこと、性への目覚め、AV活動、逮捕…何も知らない息子のために、破天荒な人生をすべて綴ったのが、沢木氏の『伝説のAV男優 沢木和也の「終活」 癌で良かった』(彩図社)である。同書から一部抜粋して、沢木氏と妻の出会いを紹介する。(全2回の1回目/#2を読む)

◆◆◆

ドン底状態から復活したキッカケは女房へのナンパ

 シャバに戻って来た直後は(沢木氏は大麻所持で懲役1年執行猶予4年の判決が下されていた)、AV男優の仕事を休んで様子を見ていたこともあって、しょっちゅう街で女の子をナンパしていたな。

 ナンパって、慣れてくると自分と女の子の歩幅が合うか合わないかで、イケるかイケないか分かるんだ。そういう意味では、注意しておくべきは表情や身振り手振りではなくて足だと思うんだよ。

AV男優・沢木和也氏

 ある有名なナンパ師なんかは、女の顔なんか見ないで、まずは歩いている人達の足元だけ見て回るのね。それで女物の靴を見付けたらパっと顔を上げて、あまりに好みじゃなかったら「ごめんなさい人違いです」なんて謝って次に行く。この女性の足元を気にするやり方が一番効率が良かったな。

 そんな調子で日々ナンパに勤しんでいたんだけど、ある時新宿のさくら通りを車で走ってたらいい女を見掛けてさ。さっき女の足元を見るとか言ったけど、その時はジャガーを見せびらかしながら物色してたんだ(笑)。

 そしたらさくら通りから靖国通りへ出る辺りで、オレンジ色の派手なコートを着た女性が目に入って、その子を見た瞬間に「これは!」と感じて、車を停めて声を掛けたの。

 当時の俺はAV男優仲間と深夜営業のスナックをやっていたから、ナンパには店の客を増やすための営業って側面もあったんだ。だからまず「今から飲みに来ない?」と店に誘ったんだけど「今はお金持ってない」なんて言うからさ、こっちも引き下がるのも嫌だから「じゃあ今日は金はいいから」と食い下がって、とりあえず店まで連れていったの。それが女房との出会い(笑)。

 それから「この子悪くないな」と感じて付き合いが始まったんだけど、当時の俺はAV系のメディアだけじゃなくて、女性誌にも出ることがあったから、女房はAV男優の沢木と最初から気付いてたみたいだね。「ナンパAVやってる男がジャガーで声を掛けて来た!」って。