「この子を落とせば毎日ベッドで寝られる!」
さっきも言ったように、この頃の俺は家がないホームレスだったから、先々のことまで考えられる女性を探していたのかもね。そんな時に一人暮らし中だっていう女房が引っ掛かったもんだから、「この子を落とせば毎日ベッドで寝られる!」と必死に口説き落としたんだ(笑)。それで数週間後には女房が住んでいた家に転がり込めて、やっと人として恥ずかしくない雨風を凌げる生活が出来るようになった。
その後は彼女と一緒に住みながら、AV男優として頑張って働いて生活を立て直して、俺名義の部屋に引っ越して、そこに数年くらい住んだのかな。そうやって暮らす内に「こいつしかいないな」と思うようになって、ごく自然に「結婚したいな」と考えるようになっていったんだ。
女房と結婚した理由をよく聞かれるんだけど、本気で好きだったんだと思うよ。彼女を落としたい一心で、追い回したり、目の前で泣いてみたり、こういう終活なんて状況じゃなかったら絶対に他人に言えないような方法で、無理やりに結婚してもらったんだから(笑)。
そのクセ俺もおかしくてさ、そうまでして女房と一緒になったのに、外ではお金をくれる女を探しては遊び回っていたんだ。男に尽くしたいタイプの女性を探し出しては、仲良く付き合って、何十万円もするスーツを買ってもらったりしていた。本当に我ながら酷すぎて、こういう話をするべきなのか悩むよ(笑)。
女房と2人で進む波乱の人生
女房と結婚したってことはAV業界の人間には誰にも教えなかった。イマイチAV業界人を信用していなかったというのもあって、そんな大事なプライベートは打ち明けられなかったんだよ。
これがベテラン業界人達が言う「沢木は付き合いが悪い」って評判に繋がるんだけど、誰にも内緒で家に女房がいる生活を続けていたから、ロクに事情も説明出来ずに帰るのが当たり前になっちゃったんだよね。
それに女房との間にも一緒になるって時に色々あって、実は女房は親と縁を切ることになってしまったんだ。実家が東海地方の田舎の方で、土地柄なのか見栄っぱりが多いんだよね。そういう土地に住んでいる我々の親世代がさ、娘の旦那がAV男優だなんて言えるわけないってのも何となくは分かるよ。