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やってみたら正直、そんなに好きじゃなかったので(笑)

――そこからどうやって勉強したんですか? 研修会に入るにも、それなりの実力が必要かとは思うのですが。

伊奈 研修会なら初段くらいで入れるので、そこまでハードルは高くなかったんですよ。

――とはいえ、当時は「将棋ウォーズ」のような気軽に将棋を指せるツールなどもあまりなく、実戦経験を積むのも難しくありませんでしたか。

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伊奈 『将棋世界』や『将棋年鑑』といった将棋の専門誌に、道場や支部の住所だけは書いてありました。だから、そこに行ってましたね。当時は、逗子に住んでいたので、鎌倉や横浜にはよく行きました。ただ、そこは代表の住所なだけであって実際に行ってみると普通の家で、対局できる場所じゃなかったりもするんですけど。

 

――けっこう地道な努力ですね。このとき、ご両親に相談などは?

伊奈 恥ずかしくて、将棋をやっていることは親には積極的には言えなかったですね。進路を相談したことは今も昔もなくって、研修会に入るときも言いませんでした。

――でも、お金も必要になりますよね。

伊奈 当時、ピアノの習い事をやっていたので、それをこっそりやめて、その月謝を研修会に持って行ってました。

――えぇ! ではご両親が気づいたときは、娘は研修会にいたと。

伊奈 そうですね。黙っていたんですが、『将棋世界』に掲載された研修会の成績を見て気付いたようで。その後育成会に入会した時も、将棋連盟の人から兄に話がいき、兄から両親に話がいってわかったみたいです。それからは、両親にお金を払ってもらいました。

――ということは、将棋のことはお兄さんにも相談せず。

伊奈 しませんでした。当時、兄は家から出ていたので。親にも「手伝って」といえば手伝ってもらえたかもしれないんですが、相談はしませんでしたね。

――それで、その「女流棋士になろう」という夢は、いつまで続いたんですか?

伊奈 わりとすぐにやめました。おそらく将棋はトータルで、2、3年しかやっていないですかね。やってみたら正直、そんなに好きじゃなかったので(笑)。

 

――そうなんですか(笑)。

伊奈 育成会には入会したんですけど、やる気がなくてすぐに休会して、やめようかどうしようか悩んでいるとき、幹事の先生に怒られて。それで一度戻ったんですが、結局すぐにやめました。だから1期指して、1期休会して、1期指してやめるみたいな感じでしたね。

――では13歳くらいで始めてやめたのが?

伊奈 15、16歳ですね。

――ちなみに、今、将棋を指すことは?

伊奈 まったくないです(笑)。