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『Number』の将棋特集に「描きたい!」と立候補したんですが

――バンジージャンプも体験されていましたね。そういえば、文春の『Number』編集部にも行かれたとか?

伊奈 そうです。文春さんにも行きました。『Number』が将棋特集をやるというので、私が「描きたい!」と立候補したんですが、断られたんですよ。

――わはは(笑)。

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伊奈 それで頭にきたから、こっちから乗り込んで「なんで断ったんですか!」って聞きにいったという漫画を描きました。

――なんて言ってたんですか?

伊奈 「いや、ページが……」みたいな(笑)。まあ、ちゃんとネタになってよかったんですけどね。

――これから取材してみたいことはありますか。

伊奈 大山先生(大山康晴十五世名人)が活躍した頃の、少し昔の将棋界を描いてみたいなと思っています。となると、年配の方に取材に伺わなくてはと思うのですが、まだちょっと、今のコロナの状況では難しいですかね。

 

――そういった少し昔の将棋界の知識があるのは、昔、女流棋士を目指していたことが役立っていますね。

伊奈 そうですね。たとえば駒を持つシーンでも、他の漫画家さんは苦労されるそうなんです。でも自分はわかりますからね。駒をちょっとひねった角度で持ったりしても、違和感がないとか自分で判断できるので、そこは役立っていますね。

喜んでもらえたり、励みになったと言ってもらえたら

――ちなみに、ご自身で気に入っている話は、どれですか?

伊奈 昔の漫画は見たくないので最近のですね。なかでも私は日常の話が好きでしょうか。

――たとえば?

伊奈 トイレにアイビーの葉っぱを置いていたら「君がああいう形に切ったの?」って聞かれた話とか。庭から切って持ってきたことではなく、私が葉の輪郭を切っているのか尋ねているんだとわかって驚きましたね。

――「ニワトリは食用になったりしないよね?」と渡辺名人が聞く話も面白いですよね。

伊奈 そういう日常の話が好きです。

 

――読者の方は、将棋ファンが多いですか?

伊奈 ファンレターをもらったり、エゴサーチしてみる感じだと、将棋ファンの方と、そうではない方、両方いらっしゃいますね。あと、この漫画がきっかけで将棋を覚えてくださったという方もいて嬉しいです。

――この漫画を描いてよかったなと思うときはどんなときですか?

伊奈 やっぱり反応がもらえたら嬉しいですよね。喜んでもらえたり、励みになったと言ってもらえたら。たとえば、私が不登校ですと描くと「自分の子供も不登校です」といった方から手紙が来たりとか。そういうとき描いててよかったなと思います。