スキーマ療法のメリットとデメリットとは
これが、私が受けたスキーマ療法の内容である。はっきりと明言しておきたいのは、「スキーマ療法」はれっきとした医療行為であり、専門家の指導のもと以外で、素人が見よう見まねで行えるものではないということだ。
〈早期不適応的スキーマを理解するには、それが形成された過去の体験に戻ることが不可欠である。幼少期や思春期におけるどのような体験に基づき、どのような早期不適応的スキーマが形成されたのか、それを「頭」ではなく「心」をフルに使って理解することが重要である。早期不適応的スキーマのもととなる体験は、たいていはストレス体験であり、場合によってはトラウマであったりする。それをありありと想起し、現在につながるスキーマを理解するという作業は、かなりの痛みを伴う。したがってこのような作業は、セラピストと当事者との安定した信頼関係のもとで、注意深く行われる必要がある〉(『心理療法の交差点2』(新曜社)【第3章】スキーマ療法とは(伊藤絵美)より)
あくまで私の場合だが、スキーマ療法とマインドフルネスを続ける中で、自分をあれだけ苦しませてきた悪夢まで、ほんの少しだけコントロールできるようになった。いわゆる明晰夢に近いものだとは思うが、夢の中で恐怖を感じたとき、これまではどうにもできなかったにも関わらず「これは自分の思考が夢に反映されているだけだ、楽しいことを考えなくては」と思い、悪夢の内容を変えることまでできたのだ。
この経験は、私にとって大きな希望となっている。
もしもこの先、悪夢を見なくて済むようになれば、私は自ら死を選ぶ理由がなくなり、幸せに生きてゆくことができるかもしれない。そう思って、今現在もスキーマ療法を続けている。
自分の生きづらさの正体を認識できるようになってから、以前ほど無理をしなくなったような気がする。自分を追い込んでいいことはほとんどないし、一時的に何かの役に立ったとしても、その代償があまりにも大きすぎる。
精神科や心療内科に抵抗がある人、カウンセリングを疎遠に感じている人、生きづらさに押しつぶされそうな人たちにとって、ほんの少しでも希望があればいいと思い、今、筆を取っている。