私は、1年ほど前から月に1、2回ペースで、カウンセリングを受けている。長年、精神科に通院して投薬治療を受けていたのだけれど、もう対症療法では追いつかないほど症状が悪化してしまった。自分のなかにある生きづらさのせいで、いよいよ本当に生きるのが辛くなり、知人のすすめもあって、藁にもすがる思いで、カウンセリング治療に行き着いたというわけだ。(全2回の1回め/後編を読む)
カウンセリングを受けるには
もともと他人に心を開きにくい性質ゆえに、はじめこそ抵抗を感じていたものの、そこは相手もプロの心理士だ。私のような警戒心の強い患者の扱いにも慣れているため、こちらが当初抱いていた不安はすぐに取り去ってくれた。
カウンセリング費用についてはピンキリで、5000円から10000円を超えるところもあって一概には言えないが、私が通院しているメンタルクリニックでは1回あたり2000円と、かなり良心的な価格で治療を受けることができる。
心療内科や精神科以外にもカウンセリングを受けることができる場所は存在していて、例えば心理学部のある大学であれば、一般向けにカウンセリングルームや心理臨床センターが開設されている場合がある。大学によって多少のバラつきはあるだろうけれど、費用はおよそ3000~5000円ほどで、臨床心理士や公認心理師の資格を持った教授や大学院生がカウンセリング、心理検査などを行ってくれるところも少なくない。私が検討していた大学のカウンセリングルームでは、初回は必ず教授が聞き取りをし、希望すれば、費用は据え置きのままで次回以降も教授が治療を担当してくれるようだった。
投薬治療ではケアできなかった生きづらさ
私が日常生活で困っていたのは、うつ病と複雑性PTSDによる不定愁訴などの心身症と悪夢、フラッシュバックだった。母親と兄によって幼少期から継続的に暴力を受けていた私は、小学生のころにはすでに希死念慮を持っていて、中学生になるころにはストレスが原因で顔の右半分が神経性の麻痺を起こし、笑うこともできなくなった。
親元を離れて働き、限界を迎えて倒れるまで精神科にかかることができなかったので、治療を開始できたのは、自分の心身に異常が起きてから十数年経ってからのことだった。医師の所見に基づくと、少なくとも12~13歳でうつ病を発症、17~18歳の時期にPTSDを発症したと考えられるという。私は現在29歳であるため、少なくともうつ病とは、もう人生の半分以上を共にしていることになる。
精神科に通院しはじめて3年以上は投薬治療のみを行っていたが、抗うつ剤や抗不安薬、睡眠導入剤の量が増えることはあっても減ることはなく、一時に比べれば精神状態は安定したものの、それ以上の改善は見られず、治療の効果は頭打ちであるように思えた。