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 ただ得体の知れないものだから“偏見”を持っておこうというのはどうなのかなと思います。それはAVの話に限らずLGBTや夫婦別姓の話題でも共通することですが、自分が知らないから、自分とは違うからという理由で一方的に距離をおくのは違うと思います。きちんと理解した上で自分はどう思うのかが大事なんじゃないかな。そして何事にも自分と違う意見を持つ存在がいる認識を持つことも大事です。

「自分はこう思うけど、そんな人もいるんだ」と互いの存在を尊重し合うことが、どんな人でもより生きやすい世の中になる一歩なのだと思います。大昔のように借金のかたに出演させられたわけでなく、少なくとも私のようにポジティブな理由でAVをやっている人もいるんだねという認識が広まればいいなと思っています。

AV女優って就活どうするの?

 特に同じ世代の人によく聞かれます。こういう仕事をしている学生は就活するのか気になりますよね。それに面接官が私のことをAV女優だと知っていて、そこに触れられたらなんて言うのか、色んな疑問が浮かぶと思います。

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©橋本篤/文藝春秋

 正直AV女優ってあまりバレないんですよね。街を歩いていて声をかけられることってほとんどなくて。みんなが想像するよりも、私は世間から知られてないのか、もしくは声をかけづらいのか…。私が就職活動をするとしても、言わなければバレることはないかもしれないですが、後でめんどくさいことになるくらいなら自分から言おうと思っています。AV女優をしていたために、落とされることもあるみたいですね。

 私自身は前までは就活しようと思っていましたが、今はこのままAV女優を続けていこうと思っています。ただこの先ずっと続けられるわけではないので、その時は、この職業をプラスに捉えてくれる方と、仕事をしたいなと思っています。今は、AV女優というキャリアを生かして働いている先輩方もたくさんいるのでありがたいです。

AV女優になって1ヶ月も持たずに辞めてしまう

 AV女優は楽に稼げると思われることが多いです。AV女優になれば誰でも月に何百万、何千万と稼げるイメージを持たれがちです。コロナによりAVの門を叩く若者も増えたと聞きます。お金欲しさだけであれば、正直厳しいと思います。業界の限られた撮影現場数に対して女優の数は飽和しているのが現状で、事務所に入ったからといって、仕事が確実にあるわけでも華々しく単体でデビューできる保証もありません。