AV女優は恥ずかしい仕事ではない
こうして、AV女優として順風満帆なデビューを果たした長谷川瞳だが、遠距離恋愛となった彼氏にAV出演がバレてしまう。
「当時、彼は役者の卵みたいなことをしていたんですよ。だからわたしも、『モデル事務所にスカウトされて、イメージビデオみたいなものに出るかもしれない』みたいに濁していたんですね。でも、速攻でバレました。AVのランキングを見たらわたしが出ていたって(笑)。それで別れることになりました」
母親にも見つかり、絶縁状態となる。ただ、妹は好意的だったようで「(人気男優の)加藤鷹とカラんできてよ」などと冗談を言ったという。
「そのときわたしは、加藤鷹さんのことを知らなかったんです。妹のほうが詳しかった(笑)」
彼氏の口から、地元の友だちにも広まっていた。
「引退した後に地元の飲み会に行ったら、女友だちが『ずっと応援してたんだよ! ビデオ屋のランキングで2位になってたから、(パッケージを)1位にしておいたりしたよ』なんて言ってくれましたね。それを聞いたときは嬉しかった」
長谷川瞳本人には、AV女優であることを恥じる気持ちはなかった。
「うしろめたい気持ちは全然なかったんです。職業に貴賤はないというか、誇りを持ってやっているんだから恥ずかしくもない。『自分が卑猥なことをしているんだ』という認識もなかったんですよね。今思えば、なさ過ぎたくらい(笑)」
本人に恥ずかしい仕事をしているという自覚がないために、周囲と摩擦を起こしたりもした。
「お姉ちゃんの彼氏に、自分の出演作を見せちゃったこともありました。そうしたら、猛烈に怒られて。でも、どうして怒られたのかも全然わからなかったんですね。こっちはただ、このときの撮影が楽しかったからという理由でその話をしたいと思っていただけなんですけど」
仕事以外の場面で、自分に対して性的な目を向けられることも理解できなかった。
「たとえば、『オレもハセちゃんとやりたいよ』なんて言われると驚いちゃうわけです。『え、なんで? 仕事じゃないからあなたとはやりませんよ』って。『いいじゃない』みたいに手を触られたりすることもありましたけど、すぐに拒否していました。そういう卑猥な目で見られていると思っていなかったんです」
長谷川瞳は、あまりにも無邪気にAV女優という職業を考えていたのである。
「楽しかったですね。メーカーの専属だったので、撮影は毎月1回で3日間拘束でしたが、その日が待ち遠しくてたまらなかったくらいです」
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