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一番になれば彼にもわかってもらえると思っていた

『処女宮 メモリアル』のなかでも、こう呟くシーンがあった。

「一個のことがダメになっちゃうと、もう全部に対して『嫌~!』となっちゃうとか。そうするともう人に会いたくない病みたいなのになっちゃって。また自分のことを追い詰めて……」

 そんな女の子が、どうしてAVに出演することになったのだろうか。

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「彼氏が、とある事情で地元に帰らなくちゃいけなくなったんです。部屋も引き払うっていうから住むところもなくなっちゃう。『どうしよう……』と途方にくれていたところに、タイミングよく渋谷でスカウトされたんです。家も借りてくれるというから、『これはちょうどいいな』って思いました」

©️iStock.com

 AVに出演することに抵抗はなかったのだろうか?

「水着と裸のちがいがわかっていなかったんですよね。水着なら平気なのだから、一緒じゃないかなと思っちゃった。事務所も説得するのが上手かったんですよね。ヌードグラビアを見せてもらって『こんなに綺麗に撮ってくれるんだよ』って言われると、『自分も撮ってもらいたい』って気持ちになるんですよね」

 そのとき、長谷川瞳はスカウトマンに「一番になれるのであれば、やります」と答えている。

「なんであっても一番になれたら『変われるんじゃないか』と思ったんです。なにか名を成せば、なにもない人よりも自分の話を彼氏に聞いてもらえるんじゃないかなって」

 彼氏は地元へ帰ることになったが、別れたわけではない。遠距離恋愛として関係は続ける予定だった。

「(AVでも)『一番になったら彼もきっとわかってくれる』って勝手に思い込んでいたんですよね。本気でやっているというのがわかってもらえれば、『おまえも頑張ってるな』って仕事として認めてもらえるんじゃないかって。そんな甘いことを考えていました。『わたしたちは愛し合っているから大丈夫だ』って。もちろん、そんなことはなかったんですけどね」