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そもそもなぜケネディは暗殺されたのか

――ケネディ暗殺を巡っては、「本当にオズワルドが犯人なのか」という点以外にも、「なぜケネディは暗殺されたのか」という動機の部分も、未だに謎として残っていますよね。

三上 まぁ、殺される理由はいっぱいあるんですよ。CIAだろうが、マフィアだろうが。マフィアとの関係で言えば、ケネディの父親(ジョセフ・P・ケネディ)が禁酒法の時代にマフィアと手を組んで、酒の密輸でしこたま儲けていたのは有名な話ですよね。その繋がりで、ケネディの大統領選のときも、マフィアが動いて大規模な選挙不正が行われたことがわかっている。ケネディは本当は負けていたけど、マフィアが票を操作して勝たせた……という話もあるくらい。

ケネディ大統領の棺 ©getty

 それなのに、ケネディは手のひら返しして、大統領になってからはマフィア潰しを始めた。もちろん、マフィアとしては面白くないですよね。その親玉がサミュエル(サム)・ジアンカーナという男です。もともとはアル・カポネの部下だった有名なマフィアなんですが、彼の弟が『DOUBLE CROSS』という本の中で、「殺し屋を雇ってケネディを暗殺した」と書いているんです。この本は『アメリカを葬った男』(光文社)というタイトルで、落合信彦さんが翻訳したものが日本でも刊行されています。この中ではジェームズ・ファイルズの名前は出てこないんだけれど、内容はすごく整合性があるんですよね。

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――ケネディを恨む人物はたくさんいたと。

三上 あと、これも有名な話だけど、ケネディ大統領が暗殺された2時間後に、副大統領だったジョンソンの大統領就任式が行われたんです。そのときに、一人の下院議員がジョンソンに向かってウィンクしていて、それを見たジョンソンが微笑んでいる写真が残っている。まるでケネディが殺されることを知っていて、「大成功だった」みたいな表情じゃないかと。

――確かに憶測を生む写真ですね。先程CIAの名前も上がっていましたが、CIAもケネディに恨みがあった?

三上 一番はピッグス湾事件(1961年、CIAの支援を受けた在米亡命キューバ人部隊が、キューバに侵攻した事件。フィデル・カストロ政権の打倒を試みたが、キューバ軍に撃退された)が大失敗に終わったことですかね。あれはケネディが大統領になった直後に始めて、大ゴケしたんですよ。で、その失敗をCIA周辺に押し付けて、長官と副長官を更迭した。そのとき更迭された副長官はチャールズ・カベルと言うんだけど、その弟がアール・カベルという男。彼はケネディ暗殺のとき、ダラスの市長だった――。そういう因縁はいっぱいあるんだよね。