世界には、何十年経っても真相のわからない未解決事件がたくさんある。真犯人は誰なのか、黒幕は誰なのか、この事件とあの事件は繋がっているのか――。そんな「未解決事件のナゾ」は、テレビやYouTubeでも人気のテーマだ。

 そこで、「世界の謎と不思議に挑戦するスーパーミステリー・マガジン」とのキャッチコピーを掲げ、独自路線を突き進んでいる雑誌『ムー』の編集長、三上丈晴さんに「ムー的未解決事件」について聞いてみた。(全2回の2回目/前編から続く

『ムー』編集長の三上丈晴さん ©末永裕樹/文藝春秋

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三上 未解決事件と言えば、ロズウェル事件を外すわけにはいかないでしょう。1947年の7月2日なのか、4日なのか……いろいろな説があるんだけど、今は実質7月2日でほぼ固まってるかな。その日、ニューメキシコ州のロズウェルに1機のUFOが墜ちた。それを軍が回収したんです。

 そのことは、『ロズウェル・デイリーレコード』という地元の新聞に、7月8日付で書かれています。その情報は、軍が発表したんですよ。当時はUFOという言葉じゃなかったんだけど、「空飛ぶ円盤を当局が捕獲し、回収した」と、新聞記者の前で軍がちゃんと発表している。でも、なぜか数時間後にそれを否定した。いや、違いました、やっぱり観測気球でしたと。だから次の日の、7月9日付の新聞では「気球でした」という報道がなされるわけなんだけど。

1947年7月8日付の『ロズウェル・デイリーレコード』。「ロズウェル陸軍飛行場(RAAF)が空飛ぶ円盤(Flying Saucer)を捕まえた」と報じられている

UFOなのか気球なのか

――UFOなのか気球なのか……それが“発見”されたときはどんな様子だったんでしょうか。

三上 そもそも、ロズウェルでの第一発見者は軍じゃないんです。最初に見つけたのは牧場主のマック・ブラゼルという人です。彼は牧場を借りていて、牛とかを放牧していました。その日は嵐で、落雷も凄かったので、おそらくそのせいでUFOも墜落したんじゃないかと言われているんだけど、ともかく当時の報道によると、彼が牛の様子なんかを見に行ったら、牧場内に変な物体が散らばっていた。

 それで地元の保安官に報告をしたら、保安官からロズウェル陸軍飛行場に連絡がいって、軍が現場を見にやってきた。そこで「こりゃなんだ?」という話になったと。それを受けて、軍の報道官が「空飛ぶ円盤が見つかりました」と発表したんですね。