世界には、何十年経っても真相のわからない未解決事件がたくさんある。真犯人は誰なのか、黒幕は誰なのか、この事件とあの事件は繋がっているのか――。そんな「未解決事件のナゾ」は、テレビやYouTubeでも人気のテーマだ。

 そこで、「世界の謎と不思議に挑戦するスーパーミステリー・マガジン」とのキャッチコピーを掲げ、独自路線を突き進んでいる雑誌『ムー』の編集長、三上丈晴さんに「ムー的未解決事件」について聞いてみた。(全2回の1回目/後編に続く

『ムー』編集長の三上丈晴さん ©末永裕樹/文藝春秋

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――これまで『ムー』の中では、古今東西、あらゆる未解決事件を扱っていらっしゃいますが、その中でも特に印象的な事件を選ぶとすると、どれになりますか。

三上 未解決事件といっても幅が広いですよね。UFOものはみんな未解決と言えるし、あとは神隠し事件とかもある。でも、解決したとは言わせねえぞ、という部分では、やっぱりケネディ暗殺かな。

ケネディ暗殺事件:1963年11月22日、第35代アメリカ合衆国大統領ジョン・F・ケネディがテキサス州ダラス市内をパレード中に銃撃され、死亡した。アメリカ政府がこの事件を調査するために設置したウォーレン委員会は事件から10ヵ月後に、リー・ハーヴェイ・オズワルドの単独犯行と結論付け、いかなる個人、団体、国家の共謀を示す証拠も発見できなかったとしたが、事件について不可解な点が数多くあることから、この暗殺を巡っては今も様々な憶測が飛び交っている。

三上 ケネディ暗殺の犯人はオズワルドだというのが一般的な見解なんだけど、一方でオリバー・ストーンの映画『JFK』なんかではオズワルド説を否定していますよね。確かに、色んな情報から考えていくと、“真犯人”は別の人物じゃないかと思えてくるんです。

ケネディ大統領暗殺事件後に逮捕されたオズワルド ©getty

――別の人物?

三上 この事件は、暗殺の瞬間を捉えたザプルーダー・フィルム(暗殺される生々しい11秒間を克明に撮影したフィルム)と呼ばれる、カラー映像が表に出てきてからかなり局面が変わったんですよね。なかでも決定的だったのは、致命傷となった銃弾が明らかに前方から撃たれていたこと。ケネディがのけぞっているからね。これは動画として出てきた以上、否定しようがない。でも、オズワルドはケネディの背後にあるビルから狙撃していたんです。