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80年代になって突然有名になったロズウェル事件

――そもそもロズウェル事件が有名になったのは、いつ頃から?

三上 80年代ですね。だからこのことは、80年代まではほとんど誰も知らない、ローカル事件だったんです。例えば、ロズウェル事件の2週間くらい前にアーノルド事件(1947年6月24日にワシントン州で起こったUFO遭遇事件)というのがあって、それを受けて米軍の中に調査チームが作られました。

 最終的にはプロジェクト・ブルーブックという名前になって、ドラマ化もされているんだけど、このチームがいろんなUFO情報を調べて、軍としての調査報告書をまとめているんですよ。でも、その中には1957年に起きたラボックライト事件とかは載っているんだけど、ロズウェル事件に関してはロの字も出てこない。

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 だから怪しいな、と。ちなみに、そのチームの中心人物だったエドワード・ルッペルト大尉が「UFO」という言葉を作ったんです。だから未確認飛行物体というのは、実は空軍の軍事用語なんだよね。

――軍の調査報告書にも載らなかった事件が、80年代になって突然有名になったきっかけは何だったんですか。

三上 UFO研究家のウィリアム(ビル)・ムーアが、チャールズ・バーリッツとの共著で『The Roswell Incident』という本を1980年に出版して、これがきっかけで知られるようになりました。日本でも、『ニューメキシコに墜ちた宇宙船』(徳間書店)という邦題で刊行されてます。チャールズ・バーリッツというのは、バミューダ三角消滅海域とか、そういう研究で知られている男で、英会話学校のベルリッツってあるじゃない、あの創業者一族です。

ウィリアム・ムーアとチャールズ・バーリッツの共著『The Roswell Incident』

 でも、そのウィリアム・ムーアというのが曲者でね。後々、MJ-12文書とか、いろんな当局リーク情報をバンバン、バンバン流していくんですよ。それで、UFO研究家の間でさすがにこいつ怪しいんじゃないかという話になって、吊し上げにあうわけ。そしたらあっさり、「私は当局の回し者で、フェイクを流す仕事をしてました」って吐いちゃうんです。一回、本人に会って取材したことがあるけど、あれはワルだよ、ワル。