1ページ目から読む
2/4ページ目

 同じ意味で『成功すること』だけに人間の将来の価値を置くような言い回しも平女の伝統から言って極めて不適切です。実際、理事長の式辞を聞いた卒業生や教職員の中には、あまりに場違いな言動に頭を抱えるものもいたほどです」

 卒業式終了後には、理事長の式辞に対して卒業生や保護者からクレームの電話が殺到したという。

「直接のお叱りだけでなく、理事長の問題発言はネットでも拡散され、OGらから『言葉を失いました』『差別発言が公式の場で、最高責任者から出た』『伝統ある学校なのに良い伝統が守られて無い』『いまの理事長になってから平女は変わってしまった』といったたくさんの批判的な内容が投稿されました」(同前)

ADVERTISEMENT

ミッション系女子校にやってきた“敏腕経営者”

 平安女学院はアメリカから来日した宣教師によって1875年に創設され、146年の歴史を紡いできた。学生らは毎朝教室で礼拝し、聖書を学び、聖歌を歌う。教職員は敬虔なクリスチャンが多く、「俗世間とは隔絶されたような雰囲気」(地元紙記者)があるという。

「名門校ではありますが、過去には経営難から学院が傾きかけたことがある。そこにテコ入れしたのが、2003年に平安女学院理事長・学院長に就任し、2005年から大学学長も兼任している山岡理事長なんです。山岡理事長は人件費カットなどで80億円を超える累積債務を解消して学校経営を立て直しました。

 経営コンサルタント会社や出版社を経営する傍ら、地元行政の重要ポストを歴任し、2011年からは京都府立医科大学の客員教授、2015年からは京都大学特任教授として、90歳を超えた現在も現役教授として大学の教壇に立っている。京都の政財界、教育界に大きな影響力を持つ “凄腕”ですよ」(同前)

 山岡理事長は理事長就任後、伝統あるキリスト教教育よりも経営重視の方針をこれまで採り続けてきた。そのため、過去には伝統を重んじる在学生や職員らと対立し、裁判沙汰になることもあった。

「2005年、平安女学院大学のびわ湖森山キャンパス(滋賀)が高槻キャンパス(大阪)に統合されることをめぐって、在学生が卒業まで森山キャンパスで就学できるよう裁判所に求めましたが、棄却されました。

 2011年には、当時の事務職員が学院側から執拗な退職勧告を受け、解雇されたとして、学院側を提訴。事務職員は『合理的な理由がない』と解雇の無効が認められましたが、職場復帰後、学院側が仕事らしい仕事を与えなかったことから再度訴訟となり、職員側が勝訴したこともあります」(同前)