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《どうか本校をお助けください》京都のミッション系伝統校「平安女学院」からSOS 校長が“学院出禁”の異常事態発生

京都の伝統女子校“令和のお家騒動” ♯1

《どうか本校をお助けください。現在、理事長の理不尽な命令で中学校・高等学校の校長が校内への立ち入りを禁じられており、自宅待機処分となっております。理事長に異論を唱えた副校長、教頭ら4人も役職を解任されました。これは理事長の職権乱用です》

 7月上旬、差し迫った様子のメールが「文春オンライン」に届いた。訴えるのは古都・京都にある創立146周年を誇る平安女学院中学校・高等学校(以下・平女)の学院関係者だという。

 平女は、1875年(明治8年)に設立された幼稚園から短大・大学までが備わったキリスト教主義の女子校だ。京都市内の中心地にあり、京都御所に隣接、すぐ近くには世界遺産の二条城がある。日本で初めてセーラー服を採用したともいわれ、元NMB48の山本彩も通っていたことがある。

 そんな伝統校で校長が“出禁”になる異常事態が発生したというのだ。

卒業式での理事長の式辞が“大問題”に

 事の発端は、今年3月1日に高等学校で行われた第73回卒業式での出来事だ。朝10時から校内の体育館で行われた卒業式には、卒業生約130名と教職員約70人の計200人ほどが出席。コロナの影響で来賓や保護者の参列はなく、卒業生の保護者限定で式の様子はライブ配信が実施された。

 当日は俳優の吉沢亮が、主演を務めた映画「ママレード・ボーイ」(2018年公開)のPRで同校をサプライズ訪問したのが縁でVTR出演。卒業生も大いに盛り上がるはずだった。

京都の中心地にある平安女学院 ©文藝春秋

 卒業式ではまず卒業証書授与が行われ、校長の告辞、校歌演奏と順調に進み、次に山岡景一郎理事長(学院長・大学学長も兼任/91)が壇上で式辞を述べた。

《小さくても、エルメスやヴィトンとか、そういうようなブランドというのは、小さくてもピカッと光っています。私どもの学生たちは、今はそういうブランド大学だという誇りを持っております》

《世の中には5種類の人間がいますね。1人は世の中にどうしてもあってほしい人。2番目は、どちらかというとまあ、いてほしい人。3番目は、世の中にいてもいいひんでもいい人。4番目は、世の中におったらあまりよくない人。5番目は、世の中におったら害になる人。さて、どれが1番いいでしょう? それは1番目の世の中に必要な人だと私は思っています》

《私がみなさんに一番伝えたいことは、成功すること。成功は最後までやり遂げること。ということは、成功するまでやること》

式辞の問題点「平女146年の歴史とは相いれない」

 この式辞の内容が、平女関係者の間で“大問題”となった。前出の学院関係者が解説する。

「理事長の式辞はキリスト教主義を掲げる平女には大変不適切なものでした。まず、理事長は平女を“エルメスやヴィトンと同じようなブランド大学”と表現しました。しかし、これは言い換えれば他の学校は、平女より品格が劣るということを言っていると同義であり、謙虚さを重んじてきた平女146年の歴史とは相いれません。

 また、理事長は人間を5つのタイプに分類し、その中で1番目のタイプの人が1番いいと述べましたが、そもそもキリスト教は人間の存在そのものを赦し、肯定しています。わが校が掲げる博愛精神から言っても人間をランク分けすることなどあってはならないのです。《世の中におったら害になる人》などと差別したりすることも教義に反します。