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 それからしばらくして、今井校長の自宅のポストに何者かによる怪文書が投函されるようになったのだという。

「校長が教職員に語った話によると、怪文書には《身の回りを警戒しなさい》《ご用心》《面従腹背の三役を警戒しなさい》などと書かれていたそうです。もちろん、理事長がしたことだと決めつけることはできませんが、教職員の誰もが理事長の意向が反映されたものなのではないかと疑っていました。

説明を求める質問状を提出

 それ以降も理事長は、校長や反発する教職員に対してクビをチラつかせて、言葉による圧力をかけ続けていました。それに業を煮やした副校長と教頭が、理事長に『式辞での問題発言について説明を求める質問状』(5月27日付)を作って、同日に理事長の第一秘書ともいえる学院統括室の職員に提出したのです」(同前)

 取材班はこの質問状を入手した。《2020年度 高等学校卒業証書授与式における式辞について》と題された山岡理事長宛てのA4用紙2枚の文書にはこう書かれている。

 

《式後より、校長を通して理事長の真意を問うてきました。その後の経緯の中で、釈明も謝罪の意志もお持ちでないことも聞き及んでいます。私たち中学校高等学校の管理職としては、式辞およびその後の対応は、上述の理由から、学校法人 平安女学院の社会的責任が問われることだと捉えています。(略)理事長のご真意をお答えください》

 質問状の回答期限は5月末としていたが、理事長から回答が返ってくることはなかったという。

「副校長や教頭は、6月11日に改めて回答を求める文書を作成し、理事長に再度回答を求めました。ですが、質問状を受け取った学院統括室の職員から理事長は目を通していないと伝えられ、理事長からの回答がないまま時間だけが過ぎていきました。理事長は無視をし続けるのだろうかと思っていたら、6月16日の放課後に今井校長が中高の教職員全員を教員室に集めたのです」(同前)

 多くの教職員を前に立った校長は「今まで見たことがない神妙な表情」(同前)だったという。

「校長は教職員が集まったことを確認すると、『たった今、理事長から自宅待機を命じられました。校内への立ち入りも禁じられました。でも、私は必ずまた戻ってきます』と語り始めました。他の教職員や在校生、卒業生、学校に関わる業者との接触も禁じられたそうです」(同前)

 職員室に集まった教職員たちはどよめいた。学院関係者によると今井校長は「平女の象徴のような存在」だったという。

愛の教育を大切にし、キリスト教精神に基づいた教育

「今井先生は非常勤講師として平女で働き始め、2017年に校長に就任しました。校長は一貫して、『この世に生まれてきたすべての人は、望まれて生まれてきたかけがえのない大切な存在である』と伝えてこられた。どんなときも愛の教育を大切にし、キリスト教精神に基づいた教育を行っていました。

 入学前の説明会で校長の話を聞いて平女への入学を決める生徒も少なくありません。中学と高校で社会科の授業を受け持ち、生徒たちもとても慕っていた。気軽に校長室を訪れる生徒も多かった」(同前)

 しかし、そんな平女の“精神的支柱”は、理事長の指示により自宅待機を言い渡され、学校から姿を消した。残された教職員を待ち受けていたのは、理事長による報復人事と内通者による監視に怯える日々だった。(#2へつづく

※文春オンラインでは学校トラブルについて情報を募集しております。

 7月22日(木)21時〜の「文春オンラインTV」では、本件について担当記者が詳しく解説する。

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