山岡理事長は過去のインタビューで、学校経営のあり方についてこう見解を述べている。
山岡 「私の予定は、いつも学生行事を最優先にしている。そこで得意のマジックを披露する。学校経営もマジックと同じ。理解されなくてもいい。成功すればいいのだ(略)」
――ワンマン経営者を自認しているとか
山岡 「そうだ。危機的な局面では、ワンマン経営でないと意思決定が迅速にできないし、難局は乗り切れない。教職員に対しても、理事長室のドアは開けている。いつでも理事長に対して公然と批判していい、と伝えている。徹底的に議論する。最終的に決めるのは、私だ」
「読売新聞教育ネットワーク」(Vol.37 2018年2月2日配信)
理事長が私淑する昭和の名経営者・松下幸之助
ちなみに山岡理事長が私淑するのは昭和の名経営者・松下幸之助だ。こうした“敏腕経営者然”とした方針は、平女の教職員には受け入れがたかった。前出の学院関係者が打ち明ける。
「理事長の式辞の内容は、平女の定める寄附行為(※基本規則のこと)にある『キリスト教の精神にもとづく学校教育および保育を行うことを目的とする』という項目に抵触する可能性もありました。そのため、教職員間で3月末の理事会でその責任を追及しようという話になったのです」(同前)
かくして平女の“令和のお家騒動”の幕が切って落とされたのだ。
秘密裏に行われた“理事長糾弾”への賛同集め
「理事長に式辞内容への説明を求めるため、ある教職員が問題発言を『意見書』にまとめました。その職員は理事長側に勘付かれないよう秘密裏に中高学校の教職員らに『意見書』の賛同を募って回ったんです。匿名ながら、専任教職員の9割が賛同。そのことを明記した『意見書』が今井校長に託され、『評議会』で議題にあげてもらうことになりました」(同前)
平女では学院運営を協議するため、定期的に理事会が行われている。理事会のメンバーは理事長の他に、理事長の親族を含めた5名だ。そして理事会に動議を出すには、その前に行われる評議会を通さなければならないのだという。評議委員会のメンバーはこの理事会メンバー5人を含めた11人。今井千和世校長は中学高校の代表として名を連ねていた。
3月下旬、今井校長は意見書を受け取り、教職員らとともに11人の評議員のうち過半数への根回しを済ませて評議委員会へ向かった。しかしいざ会議となった時に、動議に賛同してもらえると思っていた評議員数人が欠席していることに気づいたという。
「評議委員会で過半数の賛同がなければ動議は理事会へと移行しません。賛同してもらえるはずだった評議員が欠席してしまったため、今井校長は過半数の賛同が得られないと判断して、意見書の提出を断念しました。
過去に事務職員を不当解雇した理事長のことです。強引に意見書を提出すれば、『この文書を作ったのは誰や?』と文書を作った教職員を特定し、その教職員を解雇する可能性もあると今井校長は考えたそうです。
しかし、事態は既に今井校長が考えている以上に深刻なものになっていました。こうした教職員らの動きは理事長側に既に知られていたようで、今井校長は件の評議委員会が終了したあと、大学内にある理事長室に何度も呼び出されていました。校長によると、理事長から恫喝を受けていたそうです」(同前)