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外国人観光客は「靴の脱ぎ履き」カルチャーの初心者です

「外国人のお客様に靴を脱いだ後、地面に足を触れないようにと、どのように案内すればいいのか、教えてください」

 詳しく事情を伺ってみると、外国人のお客様は日本の「玄関スタイル」になじみがないので、靴を脱いだあと、靴下や素足のまま、土足スペースをうろうろ歩き回ってしまう場合が多いようです。たしかにそういう外国人観光客をあちらこちらで見かけます。彼らは、土足と土足でないスペースを区別して、そこまで徹底的に考えたことがこれまでになく、戸惑っているのです。外国人観光客は「靴の脱ぎ履き」カルチャーの初心者。どうやって英語で伝えればわかってもらえるか、私もかなり苦労しました。

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 日本人の場合は、旅館や温泉で(1)靴を脱いだ後に、(2)木製のスノコや上り框(かまち)に一段上がって、(3)スリッパに履き替えるという動作を難なくこなせるのですが、外国人には2段階の説明が必要です。つまり、靴を履いている状態/靴を脱いでいる状態の間に「中間点」として「靴の脱ぎ履きゾーン」が存在するということを、はっきり説明してあげないと理解できません。

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「Please remove your shoes here」(ここで靴を脱ぎましょう)

 だけではちょっと不十分で、さらに加えて「中間点」である

「Please change into or out of shoes here」(靴はこの場所で脱ぎ履きしましょう)

 と説明を添えると、理解がしやすくなりますよ! 逆にはっきり「中間点」を示さないと、うっかり靴下や素足で地べたを歩いてしまうというミステイクを起こしてしまいます。

 ここでポイントになるのは、屋内と屋外を区切っている「中間点」カルチャーは、日本人の「清潔感へのこだわり」と密接に関わっているということです。

 日本人が自分の箸と「菜箸」を器用に使い分けてお鍋を大勢で食べる、というのも同じ「中間点」のカルチャーだと思います。このような、日本ならではの清潔感に感動している外国人は少なくありません。

 玄関という場所を生かして、日本ならではの「清潔感へのこだわり」が多くの外国人観光客に伝わって、追体験できるようになれば、よりハイレベルなおもてなしが実現すると思います。誰にとっても「Have a nice day!」なひと時を過ごせればいいですね!