文春オンライン

2021/08/03

納得できない芸を評価されることが苦しかった

──毎月ネタを100シチュエーション考えるのをノルマにしていて、99しか考えられなかった翌月は101考えていたことがあると聞きました。自分にストイックすぎる部分もあったと思われますか。

加賀 締め切りに追われないと永遠にやらないみたいなことってあるじゃないですか。100シチュエーション考えるというのは、それに近い感じです。1日に3つだと1か月で90個しかできないので、あと10個がんばろう、みたいな。

 でも、「コンビニに変な人が来た」「じゃあ、どんな変な人」というような、時間がありさえすればできることを書いていただけなので、本当にたいしたことはやっていないです。「今月99しかできなかったから来月101やろう」というのはありましたが、実際は数字にそれほどこだわっていたわけでもなく、70個しかできなかったけど、その分ほかの仕事がんばったからいいや、みたいにゆるい設定でやっていました。

 

 それよりきつかったのは、だんだん「かが屋」が知られるようになってきて、全然自分が納得できていない芸まで評価されたことでした。たとえば僕らがラーメン屋さんだとして、僕の中ではラーメンは美味しくできたけど、餃子とチャーハンは「あんまりだなぁ」と思っているのに、なぜかチャーハンと餃子を褒められる、みたいな。それがすごくプレッシャーで、苦しかったです。

 あとは、ネタに対する不満もありました。ネタ中に賀屋本人は笑っているつもりはないのに、無意識に顔が笑っていてめっちゃ腹が立つ、みたいな。そういうので怒ったりしていました。「またやってたわ……」と落ち込む賀屋が、そのあと普通に鼻歌歌いながら着替えているのを見て、また腹を立てる自分に腹が立つという無限ループ(笑)。

 

──休養を経て、変化などはありましたか。

加賀 休養前は、自分にも他人にも厳しい部分があったんですけど、厳しくすればするほど、求めているものからかけ離れていくのが結構つらかったんです。それが上手く許せるようになってきたというか、生きているだけで十分、というテンションになってきたんじゃないかと思います。

 何より、8カ月の休養の間に賀屋がだいぶ変わりました。以前は、鼻くそを食べる瞬間を見られてるのに、「食べてない」と言い張るみたいな変な突っ張り方をしていたんですが、そういうのがだいぶ減り、ストレスがなくなりました(笑)。

 

 休養のおかげでいい加減なバランスが取れるようになったと思うんですが、最近はまた少し神経質なところが出てくることがあるので、あまり何かに固執せず、楽しみながらやっていけたらと思っています。