「第9回お笑いハーベスト大賞」本選進出、「キングオブコント2019」決勝進出、『ゴッドタン』(テレビ東京)の「この若手知ってんのか!?2019」の「こいつは天才だ!」と一目置かれている芸人部門で1位獲得など、大注目のかが屋。ブレイクまでの苦労や、賀屋さんとの関係性について、加賀翔さんにお聞きしました。(全2回の2回目。前編を読む)
相手の顔色を窺うクセが「見て真似る」ことにつながった
──かが屋のコントは、小道具も背景も使っていないのに、まわりにいる人や景色が見えるように感じます。演技やパントマイムはどこで身につけられたのですか。
加賀翔(以下、加賀) ありがとうございます。正直、できるだけ演技が上手く見えるような役作りをしているだけなので、まったく演技上手ではないんです。だから自分が書いたもの以外の役をやってくださいと言われたら難しいです。
パントマイムも、が~まるちょばさんを見ていたからできているようなもので……。「ロープを引っ張る」類のネタは練習が必要ですが、「カバンが重い」みたいなのは誰でもできると思います。みんなやったことがないから、「すごい」とか「上手」とか言ってくれますけど、ちゃんとやっている人が見たらすぐバレます。
──それでも、「見て真似る」というのは高い技術が必要だと思います。
加賀 小さい頃に両親が離婚して、しばらく祖母の家で暮らしていた時に相手の顔色を窺いながら生きるクセが身についたからだと思います。よく顔が動くのも、子どもの頃に変顔をして遊んでいたからです。三面鏡に顔を突っ込んでいろんな角度から自分の顔を見て遊んでいたんですけど、このせいで、普通に授業を受けていたのに、急に隣の席の女の子に「顔うるさっ」と言われたこともあります。先生が言うことに「へえ」「ほお」と表情で反応していただけなんですけど……。できるだけ表情を変えないように顔を緊張させていたらそれもうるさいと言われて、一時気にしていたこともありました。
──でもある意味「芸人向き」とも言えますよね。芸人になりたいと思ったのはいつ頃ですか。
加賀 高校を辞めてしばらくは、何か描いたり考えたりする創作的な仕事がしたいと思っていました。でも「すごいと思われたい」ということくらいしか方向性が決まっていなくて。そんな時に「NSC(吉本総合芸能学院)入ってお笑いやろう。コンビ組もう」と誘ってくれた友だちがいて。それまで僕は、お笑いは好きだけど、自分のことを面白いとは思っていなかったので、面白くなりたいなと思って、芸人を目指し始めました。