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そもそもヴィーナスが立つホタテ貝自体が
そもそもヴィーナスが立っている大きなホタテ貝自体が女性器の暗喩なのだ。日本でも、女性器を貝に例える表現はよく使われるが、世界各地でも同様の例がある。
神話の中には、ヴィーナスと貝を結びつける記述はないようだが、古代ギリシャ時代からヴィーナスと貝を結びつけた彫刻は数多く作られている。やはり、そこにエロティックなイメージを重ね合わせようという意図があったのだろう。
ボッティチェリが「ヴィーナスの誕生」で描いたヴィーナスそのものは、まだ肉体的な成熟を見せていない少女であり、官能美にはほど遠いように思えるが、それでもそこには、ようやくエロティックな絵を描けるという、この時期ならではの喜びを読み取ることができるのではないか。
ちなみに、両手を使って乳房と股間を隠す「恥じらいのヴィーナス」ポーズだが、あまりにもエロティックな印象が強くなるためか、この後はほとんど使われることがなくなる。
それでは、ヴィーナスはすべてをさらけ出してしまったのかといえば、そうではなく、股間だけは執拗に隠す方向へと向かう。